「人との出会い、仕事との出会い、モノとの出会い──」 仏教が伝える人生における本当に大切な出会いとは?
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<相手と同じ土俵にのらない、人間は自分のペースでしか能力を発揮できないから。「ときの縁」を呼び込むための下地をつくる方法>
仕事や人生で成功できる人は何をしているか。
禅僧の枡野俊明さんは「仕事でも出世でも、人より後れを取ると不安を感じる方も多いと思うが、『スピード』という同じ土俵にのってはいけない。『自分のペース』でものごとを行えば、よいパフォーマンスを発揮できる。禅では『本来の自己』を『主人公』といい、禅僧は自分のなかにある主人公に出会うために修行している」という──。
※本稿は、枡野俊明『迷ったら、ゆずってみるとうまくいく』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。
同じ会社で結婚は決して偶然ではない
「ときの縁」に逆らわない──ためらうとチャンスは逃げていく
人との出会い、仕事との出会い、モノとの出会い──。
人生には数え切れないほどの巡りあいがあります。
仏教では、すべての巡りあいを「因縁」と呼んでいます。私たちがいつもの会話で使っている “縁” のことです。
「ご縁があったら、またお目にかかりたいですね」
「いい縁に恵まれてよかった」
「あの人とは縁がなかったと思ってあきらめよう」
など、馴染みのある言葉ですね。
「因縁」というと、前世からの宿命のように感じ、「因縁の対決」「因縁の仲」「土地の因縁」など、あまりよい方向の言葉として使われませんが、本来はそうではありません。
因縁とは、ものごとを生む直接的な原因(内因)と、それを助ける間接的な原因(外縁)のことです。つまり、この世に存在するすべては、巡り巡ってつながりあっているということです。
たとえば、同じ会社に勤めていたことで知り合い、結婚したカップルは、たまたま偶然ではなく、社風に惹かれて同じ会社を選び、仕事ぶりだったり趣味だったりで意気投合する要素があったからこそ結ばれたのでしょう。それは、仏さまが導いてくださったご縁なのです。