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2027年で製造「禁止」に...蛍光灯がなくなったら一体どうなる? 未来を担う新時代の照明とは

2024年10月25日(金)16時30分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

リサイクル・リユースで経済の「輪」を作る

国際規制を受けてのLEDのさらなる普及、LED照明製造のグリーン化に加え、パナソニックEW社が近年力を入れているのが、照明器具のサーキュラーエコノミー実現に向けた実証実験だ。

サーキュラーエコノミーとは、資源や製品の価値を最大化し、資源の投入と廃棄物を最小限に抑える経済的循環を指す。

既に、主力のiDシリーズでの再生樹脂や再生鉄を使用したモデルチェンジを実施するなど、リサイクル材や代替素材、自社工場内の廃材を活用した商品製造・販売を行っているパナソニックEW社。

「工場内で出た廃材を回収してリサイクルする。これはある意味、大きな流れのサーキュラーエコノミーの中の『製造』の過程でもう一度くるっと回しているような形です」と、取り組みについて熊澤氏は説明する。

そして2023年度には自社製品のリユース展開・回収・再資源化の実証実験を開始。この実証実験では、北海道内に109店舗を展開する「生活協同組合コープさっぽろ」をフィールドとし、使用済み照明器具のリユースやリサイクルの可能性を探っている。

実証の流れは以下の通り。「コープさっぽろ」の主力店舗では、最新式の照明設備を導入することで客足を伸ばすため、数年ごとに照明を取り換えている。これまでは、付け替えた照明はそこでお役御免、廃棄されていたが、なかにはまだまだ使えるものも多かった。

そこで今回の実証では、廃棄されるはずだった照明の余寿命診断をパナソニックEW社が実施。使えるものを選別して、別の店舗の古い照明器具と交換する。古くなった照明器具は回収し、リサイクル処理を経て、再生素材とすることで、資源として再活用されていく仕組みだ。

2023年度の実証では、事業の有効性も確認されており、これが成功すればパナソニックEW社起点の大きな1つの輪、すなわち循環型経済を形成できる。

蛍光灯の国際規制を受けて大きく動き出す照明業界。これから先は、照明そのものはもちろん製造過程まで環境にやさしい新たな光で未来を照らしていく。

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