最新記事
中国経済

トランプ前大統領「返り咲きの可能性」が人民元圧迫...投機売りやドル実需で

2024年10月25日(金)11時25分
中国人民元

10月24日、中国人民元は、トランプ前米大統領返り咲きの可能性が重圧になりつつある。2023年1月撮影(2024年 ロイター/Dado Ruvic)

中国人民元は、トランプ前米大統領返り咲きの可能性が重圧になりつつある。投機筋が人民元の売り持ちに動いているだけでなく、中国本土の輸出業者などが保有するドルを手放さないからだ。

中国経済の低迷や中国債券利回りの低さが響き、人民元は昨年初め以降軟調が続いている。過去17カ月は1ドル=7元よりも元安水準で推移し、下落率は約2%だった。


 

足元では中国政府の大規模な経済対策を本土の株式市場が好感して投資家が戻ってきたが、11月5日の米大統領選で対中関税の大幅引き上げを公約に掲げる共和党候補トランプ氏が勝利するかもしれないため、人民元への下げ圧力は強まり続けている。

3週間移動平均ベースの人民元下落率は約1.5%と、この1年余りで最大に達した。

イーストスプリング・インベストメンツの債券ポートフォリオマネジャー、ロン・レン・ゴー氏は「向こう12─18カ月で、中国はあらゆる方面から関税引き上げに直面するので、自国経済のための最も手っ取り早い政策調整は通貨安誘導になる公算が大きい」と指摘した。

実際これは中国が以前に採用した政策だ。

トランプ氏が1期目の米大統領だった期間には、2018年に初めて中国製品に関税が発動されると人民元は対ドルでおよそ5%下がり、1年後両国の貿易摩擦が激化するとさらに1.5%下落した。

市場参加者の話では、当時中国人民銀行(中央銀行)は元安を容認し、輸出収入を増やすことで関税の悪影響を相殺したように見受けられた。

今回トランプ氏は中国製品に60%ないしそれ以上の関税を適用すると表明している。

展覧会
奈良国立博物館 特別展「超 国宝―祈りのかがやき―」   鑑賞チケット5組10名様プレゼント
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

経済・物価見通し実現していけば、引き続き金利引き上

ワールド

米上院商業委、周波数オークション巡る中国の影響調査

ワールド

中国向けベネズエラ産石油輸出が停滞、米大統領令受け

ワールド

米下院議長、連邦地裁「排除」可能と警告 相次ぐ差し
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取締役会はマスクCEOを辞めさせろ」
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    「トランプが変えた世界」を30年前に描いていた...あ…
  • 5
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 6
    トランプ批判で入国拒否も?...米空港で広がる「スマ…
  • 7
    老化を遅らせる食事法...細胞を大掃除する「断続的フ…
  • 8
    「悪循環」中国の飲食店に大倒産時代が到来...デフレ…
  • 9
    【クイズ】アメリカで「ネズミが大量発生している」…
  • 10
    【クイズ】トランプ大統領の出身大学は?
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 5
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 6
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 7
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「レアアース」の生産量が多…
  • 10
    古代ギリシャの沈没船から発見された世界最古の「コ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中