嫌なことを本当に我慢しなくてはいけないのか...成功者は知っている「コンフォート・ゾーン」とは?
想像してみてほしい。あなたが「今とはまったく違う仕事をしたい」と夢見ているとしよう。それは今より努力が必要で、まるで畑違いの仕事かもしれない。そして、生まれてこのかた、「ほしいものを手に入れたいなら、コンフォート・ゾーンを出なくちゃいけない」と教わっていたとしよう。
その場合あなたは、コンフォート・ゾーンを出たことを一体どうやって知るのだろう? 教わったことに基づくなら、自分が進んで取っている不快なリスクや、喜んで耐えているストレスの度合いから知ることになる。
そういうわけで、あなたはつらい仕事を引き受け始める。そう、しっくりこない仕事を。リスクを取って、目標を達成するために、おそらくさらにお金や時間を投資するだろう。限界を超えるまで自分を追い込んで、「全力」を尽くすはずだ。
ストレスを感じても、自分にこう言い聞かせる。「これでいい! 努力していれば報われる。コンフォート・ゾーンに戻っちゃダメだ。あと少しの辛抱だからね!」と。
家族や友達と、なぜこんなに忙しいのか、いつかのんびりするために、今どんなに頑張っているかについて、話すこともあるだろう。いずれすべては報われる。そうに決まっていると。
時間が経つうちにラクになっていく仕事もあれば、キツいままの仕事もあるけれど、とにかく自分を追い込んでやり遂げる。でも、ほどなく疲れを感じ始め、やるべきことへのやる気がどんどんしぼんでいく。
しかも、やり遂げた仕事が期待通りの結果を出すとは限らないから、さらに無理をすることになる。「コンフォート・ゾーンからもっともっと離れないと、成功できないんだな」と。そうしてイヤな思いをしているうちに、ストレスと不安を味わうのがごく当たり前の在り方になっていく。
「生きることは必死で頑張ること」「恐れは人生に当然必要なもの」と思い込むまであっという間だ。ごくまれに身体が"シャットダウン"して休むしかなくなっても、「僕は怠け者だ」「役立たずだ」と感じていたり、なぜか悦に入ったり、罪悪感を覚えていたりする。
心地よく過ごすことは自己満足?
たとえ夢の仕事を手に入れても、みるみる不満が募るだろう。立ち止まって、自分が持っているものに感謝することを、すっかり忘れているからだ。さっとストレス状態に入るようプログラムされているのは、「ストレス=進歩」だから。
脳も人生も何とか配線し直してとりわけ厄介な道を選ぶのは、ストレスは生きることを、満足は死を意味するからだ。「死んだらゆっくり休むわ」と口にし、野心を燃料に、自分を疲労困憊(こんぱい)させているかもしれない。
この恐ろしいシナリオは、そこら中に転がっている。あなたもそんな生き方をしていた時期があるかもしれないし、今まさに、そんなふうに生きているかもしれない。あるいは、周りにそういう人がいるかもしれない。もはやおなじみすぎて、立ち止まって首をかしげる人もいないはず。
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