最新記事
FRB

FRB大幅利下げ、米市場の反応限定的...今後の相場変動を警戒

2024年9月19日(木)16時38分
ニューヨーク証券取引所

米連邦準備理事会(FRB)は18日に0.5%の大幅利下げに踏み切ったが、この日の米国市場の反応はおおむね限定的だった。ニューヨーク証券取引所で撮影(2024年 ロイター/Andrew Kelly)

米連邦準備理事会(FRB)は18日に0.5%の大幅利下げに踏み切ったが、この日の米国市場の反応はおおむね限定的だった。ただ、市場関係者はボラティリティーが今後高まるリスクを指摘している。

市場では利下げ発表後に株高・ドル安が進んだが、勢いは続かなかった。一方、長期金利は上昇しており、一部の投資家はさらなる急上昇のリスクに言及している。


 

アネックス・ウェルス・マネジメントのチーフエコノミスト、ブライアン・ジェイコブセン氏は「この平穏は長くは続かないと思う」と指摘。株式市場が終盤に下げに転じており、「明確な方向性を示すデータが得られない限り」株安が進む可能性があると述べた。

同氏は19日の新規失業保険申請件数など今後のデータに注目が集まるとし、「FRBは明らかに遅れを取り戻そうとしている。今回の利下げを通じて、無駄にした時間を取り戻そうとしている」と語った。

大幅利下げが他の市場に波及効果を及ぼすことも考えられる。

コーペイのチーフ・マーケット・ストラテジスト、カール・シャモッタ氏は為替市場について「今後数時間はリスクが高まる恐れがある。他の国で金利の先行きに対する見方が固まるにつれてトレーダーが急激な荒波にさらされる」とし、「ポジション調整が進む間は余震が続くだろう」と述べた。

大きな反応見られず

オプション分析サービスのORATSによると、株式オプション市場はS&P総合500種指数が上下1.1%前後変動すると予想していたが、18日の同指数は高値から押し戻され8日ぶりに反落し、0.29%安で引けた。

カーソン・グループのグローバル・マクロ・ストラテジスト、ソヌ・バルギース氏は、終値ベースで市場に目立った反応がなかった理由として過去数日間の値動きを挙げる。

小型株で構成するラッセル2000指数は前日までの5営業日で5%上昇。ドルは0.7%値下がりしていた。

メリル・アンド・バンク・オブ・アメリカ・プライベート・バンクの債券戦略責任者マット・ディチョク氏は「『うわさで買って事実で売る』というのは決まり文句だが、今回はそのようなことが起きた」と指摘。

18日のドル指数は当初下落したものの、その後上昇に転じ0.1%高の100.981となった。

ブランディワイン・グローバルのポートフォリオマネジャー、ジャック・マッキンタイア氏は「今回の政策変更はほぼ予告されていたため、金融市場に大きな動きは出ていない」との見方を示した。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲うウクライナの猛攻シーン 「ATACMSを使用」と情報筋
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさ…
  • 9
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    大麻は脳にどのような影響を及ぼすのか...? 高濃度の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中