FRB大幅利下げ、米市場の反応限定的...今後の相場変動を警戒
米連邦準備理事会(FRB)は18日に0.5%の大幅利下げに踏み切ったが、この日の米国市場の反応はおおむね限定的だった。ニューヨーク証券取引所で撮影(2024年 ロイター/Andrew Kelly)
米連邦準備理事会(FRB)は18日に0.5%の大幅利下げに踏み切ったが、この日の米国市場の反応はおおむね限定的だった。ただ、市場関係者はボラティリティーが今後高まるリスクを指摘している。
市場では利下げ発表後に株高・ドル安が進んだが、勢いは続かなかった。一方、長期金利は上昇しており、一部の投資家はさらなる急上昇のリスクに言及している。
アネックス・ウェルス・マネジメントのチーフエコノミスト、ブライアン・ジェイコブセン氏は「この平穏は長くは続かないと思う」と指摘。株式市場が終盤に下げに転じており、「明確な方向性を示すデータが得られない限り」株安が進む可能性があると述べた。
同氏は19日の新規失業保険申請件数など今後のデータに注目が集まるとし、「FRBは明らかに遅れを取り戻そうとしている。今回の利下げを通じて、無駄にした時間を取り戻そうとしている」と語った。
大幅利下げが他の市場に波及効果を及ぼすことも考えられる。
コーペイのチーフ・マーケット・ストラテジスト、カール・シャモッタ氏は為替市場について「今後数時間はリスクが高まる恐れがある。他の国で金利の先行きに対する見方が固まるにつれてトレーダーが急激な荒波にさらされる」とし、「ポジション調整が進む間は余震が続くだろう」と述べた。
大きな反応見られず
オプション分析サービスのORATSによると、株式オプション市場はS&P総合500種指数が上下1.1%前後変動すると予想していたが、18日の同指数は高値から押し戻され8日ぶりに反落し、0.29%安で引けた。
カーソン・グループのグローバル・マクロ・ストラテジスト、ソヌ・バルギース氏は、終値ベースで市場に目立った反応がなかった理由として過去数日間の値動きを挙げる。
小型株で構成するラッセル2000指数は前日までの5営業日で5%上昇。ドルは0.7%値下がりしていた。
メリル・アンド・バンク・オブ・アメリカ・プライベート・バンクの債券戦略責任者マット・ディチョク氏は「『うわさで買って事実で売る』というのは決まり文句だが、今回はそのようなことが起きた」と指摘。
18日のドル指数は当初下落したものの、その後上昇に転じ0.1%高の100.981となった。
ブランディワイン・グローバルのポートフォリオマネジャー、ジャック・マッキンタイア氏は「今回の政策変更はほぼ予告されていたため、金融市場に大きな動きは出ていない」との見方を示した。