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33店舗が閉店、100店舗を割るヨーカドーの真相...いつしか「懐かしいだけの、美しい記憶の中の存在」に

2024年9月12日(木)10時45分
谷頭 和希(チェーンストア研究家・ライター小幡 績)*東洋経済オンラインからの転載

もともと、津田沼店は1977年に誕生した。今年で46年目を迎える。

当時、津田沼には「西武津田沼ショッピングセンター」「丸井」「サンぺデック(ダイエー津田沼店)」「長崎屋」等の大型商業施設が多数立地していた。商業的な激戦が繰り広げられるさまは「津田沼戦争」とも呼ばれ、当時は勢いのあったヨーカドーがその戦争に参入した形となる。

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津田沼を上空から見た写真。ヨーカドーの隣に丸井があり、戦争状態だ(筆者撮影)

「戦争」ともなれば、本気を出さざるを得ない。売り場面積は当時としては最大。地下には「津田沼ファミリーワールド」という、さまざまな食料品を取り扱うモールのようなものもあり、食べ物であればなんでも揃った。こうした戦略が功を奏し、津田沼店はヨーカドー店舗の中でも売り上げ上位の店舗になる。

前述したポストでは、「津田沼はかつて『行く』街だった」と述べられているが、まさにちょっと特別な場所としてヨーカドー津田沼店はあったのだ。

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開店当初の津田沼店。多くの人が押しかけた(筆者撮影)

【商業エリアの中心が動いた】

しかし、ここに強敵が現れる。津田沼店誕生の4年後に誕生した「ららぽーとTOKYO-BAY」である。津田沼店からはわずか4キロほどで、車で行けば10分かからない距離。津田沼の隣、船橋の臨海エリアに誕生した。ちなみに、元はと言えば、懐かしい人には懐かしい「船橋ヘルスセンター」がある場所だ。

ここは、今でこそ全国に増えた「ららぽーと」の1号店にして、現在でも日本最大級の面積を誇る大ショッピングモール。現在の敷地面積は約171,000平方メートルで、東京ドーム3.6個分。でかすぎる。

とはいえ、ららぽーとTOKYO-BAY、オープン当初は日本に本格的なショッピングモールがなかったこと、ららぽーと自体が初出店だったこともあって、先行きが不安視されていた。なにより、すぐ近くの津田沼は戦争中だ。そんな激戦区にあって、後発の業態がうまくいくはずがない、そう目されていた。

だが、その目論見は見事、外れる。オープン時には4万人が来場し、推定では25万人が来場したらしい。客の勢いは止まらず、このショッピングモールはさらにさらに面積を広げていく。

そこでの集客にあやかろうとしたのか、2000年には、この臨海エリアに、コストコやカルフール、三井アウトレットパーク幕張など数多くの商業施設が誕生。これには、2000年に大店法が改正され、大規模な小売店の出店が容易になった事情もある。明確に「行く」街は、この臨海エリアになったのである。

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