「人民元キャリートレード」とは?...円とは何が違うのか
規模
アナリストによると、人民元キャリートレードの規模を推計するのは困難だ。ただ、円の方が流動性が高く世界的に開かれた通貨であるため、円キャリートレードよりも規模は小さい。
マッコーリーの推計では、中国の輸出企業と多国籍企業は22年以降、5000億ドル超の外貨を積み上げた。
外国企業も中国での利益を同国に再投資するよりも海外に送金する方が多かった。
一方で公式統計によると、海外勢によるオンショア人民元債の保有高は22年末以降で9200億元(1281億2000万ドル)ほど増え、今年6月に過去最高を更新した。これは「リバース人民元キャリートレード」が行われている証拠だ。これは外国人投資家が為替ヘッジ付きのスワップ取引を介してドルを貸し出して人民元を借りた上で、人民元建て債に投資することで利益を稼ぐ取引を指す。
巻き戻しはあるか
日銀の利上げを受けた円キャリートレードの巻き戻しにより、人民元相場は上昇し、人民元キャリートレードの有効性を巡り疑念が生じた。
UBSは、人民元と円には相関性があるため、オフショア人民元の売りポジションは減少したとしている。
中国の金利が上昇してドルと人民元の金利が収斂した場合、オンショアのキャリートレードは巻き戻される可能性がある。
マッコーリーのチーフエコノミスト、ラリー・フー氏は「中国の内需が好転すれば、人民元キャリートレードは巻き戻されるだろう」と予想。「その時期は、景気刺激策が本格化するタイミング次第だ」と語った。
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