最新記事
BOOKS

「賢さをつくる」ことはできる...知っておくべき「頭のよさ」のメカニズムとは?【具体と抽象】

2024年8月9日(金)17時50分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

「具体化」と「抽象化」の回数が多い:「頭のよさ」の要素③

「頭がよい人は、間違いを避けて正解にたどり着くのが上手だ」

もしかして、そう思っていないだろうか? だとしたらあなたは「頭が悪い」。......でも、そんなに気を悪くしないでほしい。世の中のほとんどの人はあなたと同じ誤解をしている。ところが、実際は逆なのだ。


 
◇ ◇ ◇

「頭がよい人は、たくさんの間違いにぶつかったから正解がわかる」

この本では「思考」ですべてが解決できるようなことを語ってきた。それなのに「体験」も必要だというのは一見主張をひっくり返したようだが、抽象的に考え具体的に考えたところで、思考の結果が常に正しいとは限らない。考えれば正解がわかるというのは幻想である。思考から出てきた理論は、ただの仮説に過ぎない。仮説を具体的な事実に付き合わせてようやく正解か間違いかがわかる。

トライ&エラーの精神は頭のよさと無縁ではない

トーマス・エジソンは、白熱電球を実用化する際に、6000種類の材料でフィラメントを作って実験した。「どうしたら長持ちするフィラメントが作れるのか?」という抽象的な理論はあったと思うが、それを証明するには実際に実験するしかなかった。6000回の実験と5999回の失敗の結果、優秀な白熱電球が発明され、世界は明るくなったのだ。

抽象的な理論は、何度も具体的に実践して確かめなければならない。もし間違っていたら理論を修正して改善していくのだ。何度も《左》の世界で検証することで《右》の世界は洗練されていく。

失敗を恐れず、何度も行動することも「頭のよさ」の一部と言える。頭の中で考えるだけなら、本当に何度間違えてもノーリスクだ。「頭のよさ」を考えるうえで、忘れられがちなのだが、距離、スピードとともに重要なのが「回数」なのだ。

◇ ◇ ◇

谷川祐基『賢さをつくる』(CCCメディアハウス)


谷川祐基(たにかわ・ゆうき)

日本教育政策研究所代表取締役。1980年生まれ。愛知県立旭丘高校卒。東京大学農学部緑地環境学専修卒。小学校から独自の学習メソッドを構築し、塾には一切通わずに高校3年生の秋から受験勉強を始め、東京大学理科Ⅰ類に現役合格。大学卒業後、「自由な人生と十分な成果」の両立を手助けするための企業コンサルティング、学習塾のカリキュラム開発を行う。

著書に『仕事ができる 具体と抽象が、ビジネスを10割解決する。』『見えないときに、見る力。:視点が変わる打開の思考法』『賢者の勉強技術:短時間で成果を上げる「楽しく学ぶ子」の育て方 』(共にCCCメディアハウス)がある。

谷川祐基『賢さをつくる』(CCCメディアハウス)

『賢さをつくる 頭はよくなる。よくなりたければ。』
 谷川祐基[著]
 CCCメディアハウス[刊]

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

20241224issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年12月24日号(12月17日発売)は「アサド政権崩壊」特集。アサドの独裁国家があっけなく瓦解。新体制のシリアを世界は楽観視できるのか

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

独クリスマス市襲撃、容疑者に反イスラム言動 難民対

ワールド

シリア暫定政府、国防相に元反体制派司令官を任命 外

ワールド

アングル:肥満症治療薬、他の疾患治療の契機に 米で

ビジネス

日鉄、ホワイトハウスが「不当な影響力」と米当局に書
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:アサド政権崩壊
特集:アサド政権崩壊
2024年12月24日号(12/17発売)

アサドの独裁国家があっけなく瓦解。新体制のシリアを世界は楽観視できるのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    おやつをやめずに食生活を改善できる?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    【駐日ジョージア大使・特別寄稿】ジョージアでは今、…
  • 5
    トランプ、ウクライナ支援継続で「戦況逆転」の可能…
  • 6
    「私が主役!」と、他人を見下すような態度に批判殺…
  • 7
    「たったの10分間でもいい」ランニングをムリなく継続…
  • 8
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 9
    「スニーカー時代」にハイヒールを擁護するのは「オ…
  • 10
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達し…
  • 1
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 2
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──ゼレンスキー
  • 3
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達した...ここまで来るのに40年以上の歳月を要した
  • 4
    おやつをやめずに食生活を改善できる?...和田秀樹医…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 7
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命を…
  • 8
    ウクライナ「ATACMS」攻撃を受けたロシア国内の航空…
  • 9
    【クイズ】アメリカにとって最大の貿易相手はどこの…
  • 10
    「どんなゲームよりも熾烈」...ロシアの火炎放射器「…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼ…
  • 5
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 8
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 9
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 10
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中