「賢さをつくる」ことはできる...知っておくべき「頭のよさ」のメカニズムとは?【具体と抽象】
「具体化」と「抽象化」の回数が多い:「頭のよさ」の要素③
「頭がよい人は、間違いを避けて正解にたどり着くのが上手だ」
もしかして、そう思っていないだろうか? だとしたらあなたは「頭が悪い」。......でも、そんなに気を悪くしないでほしい。世の中のほとんどの人はあなたと同じ誤解をしている。ところが、実際は逆なのだ。
「頭がよい人は、たくさんの間違いにぶつかったから正解がわかる」
この本では「思考」ですべてが解決できるようなことを語ってきた。それなのに「体験」も必要だというのは一見主張をひっくり返したようだが、抽象的に考え具体的に考えたところで、思考の結果が常に正しいとは限らない。考えれば正解がわかるというのは幻想である。思考から出てきた理論は、ただの仮説に過ぎない。仮説を具体的な事実に付き合わせてようやく正解か間違いかがわかる。
トライ&エラーの精神は頭のよさと無縁ではない
トーマス・エジソンは、白熱電球を実用化する際に、6000種類の材料でフィラメントを作って実験した。「どうしたら長持ちするフィラメントが作れるのか?」という抽象的な理論はあったと思うが、それを証明するには実際に実験するしかなかった。6000回の実験と5999回の失敗の結果、優秀な白熱電球が発明され、世界は明るくなったのだ。
抽象的な理論は、何度も具体的に実践して確かめなければならない。もし間違っていたら理論を修正して改善していくのだ。何度も《左》の世界で検証することで《右》の世界は洗練されていく。
失敗を恐れず、何度も行動することも「頭のよさ」の一部と言える。頭の中で考えるだけなら、本当に何度間違えてもノーリスクだ。「頭のよさ」を考えるうえで、忘れられがちなのだが、距離、スピードとともに重要なのが「回数」なのだ。
谷川祐基(たにかわ・ゆうき)
日本教育政策研究所代表取締役。1980年生まれ。愛知県立旭丘高校卒。東京大学農学部緑地環境学専修卒。小学校から独自の学習メソッドを構築し、塾には一切通わずに高校3年生の秋から受験勉強を始め、東京大学理科Ⅰ類に現役合格。大学卒業後、「自由な人生と十分な成果」の両立を手助けするための企業コンサルティング、学習塾のカリキュラム開発を行う。
著書に『仕事ができる 具体と抽象が、ビジネスを10割解決する。』『見えないときに、見る力。:視点が変わる打開の思考法』『賢者の勉強技術:短時間で成果を上げる「楽しく学ぶ子」の育て方 』(共にCCCメディアハウス)がある。
『賢さをつくる 頭はよくなる。よくなりたければ。』
谷川祐基[著]
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