最新記事
ビジネス

仕事量も給料も減らさない「週4勤務」移行、アメリカで増加中...導入企業が語った「効果と副作用」

WORK LESS, RELAX MORE

2024年5月29日(水)16時30分
アリス・ハイアム
アメリカで広がる「週4勤務」

若い世代は給料よりもプライベートの充実を優先する傾向が強い LUIS ALVAREZ/GETTY IMAGES

<週に5日も働くのはもう古い。これからは生産性を上げて、きっちり働いてしっかり休むのが時代の流れだ>

新型コロナウイルスの感染爆発で、私たちの働き方は劇的に変わった。職場に行かなくても仕事はできる。ズームを通じて顧客や同僚に「会う」こともできる。それが当たり前になった。でも、いま30~40代のミレニアル世代はもっと楽をしたい。もっとプライベートな時間が欲しい。だから、働くのは週に4日でいいと思っている。

20世紀には「週5勤務」が先進国の世界標準だったが、これからは働く日を1日減らし、週40時間労働から週32時間に移行する一方、仕事量は減らさず給料も(たいていのケースでは)減らさない。そういう仕組みを先駆的に、部分的にでも導入した企業はたくさんある。

この流れには勢いがある。自称「民主的社会主義者」のバーニー・サンダース米上院議員も「週4勤務」制の推進派だ。3月には自らが委員長を務める上院の厚生・教育・労働・年金委員会の公聴会で、こう発言している。

「悲しいことだが、ほかの豊かな先進諸国に比べて、アメリカ人はずっと長く働かされている。この事実が一般の人々の暮らしにどのような意味を持つか、この点を議論しようではないか。2022年の数字で、アメリカの労働者は勤勉で知られる日本の労働者より年間204時間も多く働いていた。イギリスの労働者より279時間、ドイツの労働者より470時間も長く働いていた」(本誌はこれらの数字について電子メールでサンダースに確認を求めたが、返信を得られていない)

政治家だけではない。今は多くの営利企業や非営利団体が、革命的な働き方改革に取り組んでいる。

働く日を減らし、ゆっくり休める日を増やせば、どんなメリットがあるか。この点を検証する試みはアメリカでもイギリスでも、EU諸国でも行われている。そしてどうやら、40代以下の若い世代はこの変化を歓迎しているようだ。

「週4勤務」で生産性が上がる

本誌の委嘱で英調査会社レッドフィールド&ウィルトン・ストラテジーズが実施した世論調査によれば、労働時間の短縮を最も強く支持しているのはミレニアル世代だ。

4月6~7日にアメリカの有権者4000人を対象に行われたこの調査では、回答者の63%が週4勤務への移行に賛成し、46%が「そうすれば労働者の生産性は上がる」と考えていた。

賛成が最も多かったのは30~40代のミレニアル世代で、回答者のほぼ4分の3(74%)が労働時間の短縮を望んでいた(具体的には週4勤務への移行に「大いに賛成」とした人が半数弱の44%で、「一般論として賛成」とした人が30%)。この世代で週4勤務への移行に反対と答えた人は8%のみだった。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イスラエル、イラン核施設への限定的攻撃をなお検討=

ワールド

米最高裁、ベネズエラ移民の強制送還に一時停止を命令

ビジネス

アングル:保護政策で生産力と競争力低下、ブラジル自

ワールド

焦点:アサド氏逃亡劇の内幕、現金や機密情報を秘密裏
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 2
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪肝に対する見方を変えてしまう新習慣とは
  • 3
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず出版すべき本である
  • 4
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 5
    トランプが「核保有国」北朝鮮に超音速爆撃機B1Bを展…
  • 6
    「2つの顔」を持つ白色矮星を新たに発見!磁場が作る…
  • 7
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 8
    ロシア軍高官の車を、ウクライナ自爆ドローンが急襲.…
  • 9
    ロシア軍が従来にない大規模攻撃を実施も、「精密爆…
  • 10
    ロシア軍、「大規模部隊による攻撃」に戦術転換...数…
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 3
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 4
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 5
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 6
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 7
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 8
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 9
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 10
    「世界で最も嫌われている国」ランキングを発表...日…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 3
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 4
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 7
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 8
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 9
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 10
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中