仕事量も給料も減らさない「週4勤務」移行、アメリカで増加中...導入企業が語った「効果と副作用」
WORK LESS, RELAX MORE
一方、戦後の1964年までに生まれたベビーブーム世代や、それに先行する80代以上の人たちの価値観は違う。この年齢層で週4勤務を支持すると答えた人は2人に1人、「どちらとも言えない」がほぼ3人に1人だった。ちなみにミレニアル世代で「どちらとも言えない」は、4人に1人に満たない23%だった。
本誌は週4勤務のシステムを導入、あるいは試してみた企業に取材し、その成果や評価を聞いた。すると対象企業の過半数から、従業員のワークライフバランスに大幅な改善が認められ、過労で燃え尽きてしまう従業員の数が減り、従業員の定着率も向上したとの回答が得られた。
いい例がクラウドファンディング専門のサイト運営会社キックスターターだ。同社はコロナ禍が収まりつつあった22年、週4勤3休のシステムを導入した。
従業員の参加意識と生産性の向上は会社にとっても利益になる
「コロナ禍が最悪だった20年に、働き方というのは私たちの想像以上に柔軟なものだということに気付いた」と、同社の最高戦略責任者ジョン・リーランドは言う。「従業員の仕事と暮らしのバランスを改善することがもたらす利益は、どんなコストにも代え難い。従業員の参加意識と生産性が上がれば、会社にとっても利益になる」
20世紀以降、人々の「働き方革命」を推進してきたのは技術の進歩だ。20世紀前半の欧米に生まれた「週5勤務」制は、今の時代にはもう時代遅れだと、就業支援の非営利団体JVSを率いるリサ・カントリーマンキロスは言う。
「そもそも週5勤務制が生まれた時代背景は、今とは全く異なる。今の世界は、当時の人たちが想像もできなかったほど変化が速く、テクノロジー主導で動いている。私たちも週4勤務に移行したが、その効果は素晴らしい。生産性が上がる一方、ワークライフバランスが改善され、過労の訴えも減った。その結果、離職率はほぼ半分に下がった」
しかし、大きな変化に想定外の副作用が伴うのは世の常。「業種にもよるが、同じ仕事量を少ない労働時間に詰め込めば、過労で燃え尽きる人が出る。それを防ぐには、ワークフローの見直しや作業工程の合理化が不可欠だ」と、中小企業向けの金融機関クラリファイ・キャピタルの共同創業者でCEOのマイケル・ベインズは言う。「個々の企業が自社のニーズに合わせて計画を練り、行動に移す必要がある」