最新記事
ビジネス

仕事量も給料も減らさない「週4勤務」移行、アメリカで増加中...導入企業が語った「効果と副作用」

WORK LESS, RELAX MORE

2024年5月29日(水)16時30分
アリス・ハイアム

一方、戦後の1964年までに生まれたベビーブーム世代や、それに先行する80代以上の人たちの価値観は違う。この年齢層で週4勤務を支持すると答えた人は2人に1人、「どちらとも言えない」がほぼ3人に1人だった。ちなみにミレニアル世代で「どちらとも言えない」は、4人に1人に満たない23%だった。

本誌は週4勤務のシステムを導入、あるいは試してみた企業に取材し、その成果や評価を聞いた。すると対象企業の過半数から、従業員のワークライフバランスに大幅な改善が認められ、過労で燃え尽きてしまう従業員の数が減り、従業員の定着率も向上したとの回答が得られた。

いい例がクラウドファンディング専門のサイト運営会社キックスターターだ。同社はコロナ禍が収まりつつあった22年、週4勤3休のシステムを導入した。

従業員の参加意識と生産性の向上は会社にとっても利益になる

「コロナ禍が最悪だった20年に、働き方というのは私たちの想像以上に柔軟なものだということに気付いた」と、同社の最高戦略責任者ジョン・リーランドは言う。「従業員の仕事と暮らしのバランスを改善することがもたらす利益は、どんなコストにも代え難い。従業員の参加意識と生産性が上がれば、会社にとっても利益になる」

20世紀以降、人々の「働き方革命」を推進してきたのは技術の進歩だ。20世紀前半の欧米に生まれた「週5勤務」制は、今の時代にはもう時代遅れだと、就業支援の非営利団体JVSを率いるリサ・カントリーマンキロスは言う。

「そもそも週5勤務制が生まれた時代背景は、今とは全く異なる。今の世界は、当時の人たちが想像もできなかったほど変化が速く、テクノロジー主導で動いている。私たちも週4勤務に移行したが、その効果は素晴らしい。生産性が上がる一方、ワークライフバランスが改善され、過労の訴えも減った。その結果、離職率はほぼ半分に下がった」

しかし、大きな変化に想定外の副作用が伴うのは世の常。「業種にもよるが、同じ仕事量を少ない労働時間に詰め込めば、過労で燃え尽きる人が出る。それを防ぐには、ワークフローの見直しや作業工程の合理化が不可欠だ」と、中小企業向けの金融機関クラリファイ・キャピタルの共同創業者でCEOのマイケル・ベインズは言う。「個々の企業が自社のニーズに合わせて計画を練り、行動に移す必要がある」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:ルーマニア大統領選、親ロ極右候補躍進でT

ビジネス

戒厳令騒動で「コリアディスカウント」一段と、韓国投

ビジネス

JAM、25年春闘で過去最大のベア要求へ 月額1万

ワールド

ウクライナ終戦へ領土割譲やNATO加盟断念、トラン
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:サステナブルな未来へ 11の地域の挑戦
特集:サステナブルな未来へ 11の地域の挑戦
2024年12月10日号(12/ 3発売)

地域から地球を救う11のチャレンジと、JO1のメンバーが語る「環境のためできること」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康体の40代男性が突然「心筋梗塞」に...マラソンや筋トレなどハードトレーニングをする人が「陥るワナ」とは
  • 2
    NewJeansの契約解除はミン・ヒジンの指示? 投資説など次々と明るみにされた元代表の疑惑
  • 3
    【クイズ】核戦争が起きたときに世界で1番「飢えない国」はどこ?
  • 4
    JO1が表紙を飾る『ニューズウィーク日本版12月10日号…
  • 5
    混乱続く兵庫県知事選、結局SNSが「真実」を映したの…
  • 6
    【クイズ】世界で1番「IQ(知能指数)が高い国」はど…
  • 7
    NATO、ウクライナに「10万人の平和維持部隊」派遣計…
  • 8
    健康を保つための「食べ物」や「食べ方」はあります…
  • 9
    韓国ユン大統領、突然の戒厳令発表 国会が解除要求…
  • 10
    シリア反政府勢力がロシア製の貴重なパーンツィリ防…
  • 1
    BMI改善も可能? リンゴ酢の潜在力を示す研究結果
  • 2
    エリザベス女王はメーガン妃を本当はどう思っていたのか?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    リュックサックが更年期に大きな効果あり...軍隊式ト…
  • 5
    ウクライナ前線での試験運用にも成功、戦争を変える…
  • 6
    健康体の40代男性が突然「心筋梗塞」に...マラソンや…
  • 7
    メーガン妃の支持率がさらに低下...「イギリス王室で…
  • 8
    「時間制限食(TRE)」で脂肪はラクに落ちる...血糖…
  • 9
    NewJeansの契約解除はミン・ヒジンの指示? 投資説な…
  • 10
    黒煙が夜空にとめどなく...ロシアのミサイル工場がウ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中