真の復興支援を問う... 北陸応援割の「便乗値上げ」にまちづくりの専門家が全力で賛成するワケ
兼六園(金沢)Sean Pavone- shutterstock
<東日本大震災から13年、今年元旦に被災した4県への「北陸応援割」が始まる。しかし、まちづくりの専門家・木下斉さんは「旅行商品の安売りは被災地復興につながらない」と警鐘を鳴らす>
新潟、富山、石川、福井4県への旅行商品を半額で購入できる「北陸応援割」が3月16日からスタートする。
まちづくりの専門家・木下斉さんは「政府は、宿泊施設などの『便乗値上げ』を監視すると明言したが、それは間違っている。被災地復興のためには『便乗値上げ』が必要であり、旅行商品の安売りを強いることではない」という――。
被災地の復興には「便乗値上げ」が不可欠
政府が3月16日から始める能登半島地震の被災地支援策「北陸応援割」について、今から「便乗値上げをするな」という話が大喧伝されていて、耳を疑ったところです。
この「便乗値上げ」とは、割引相当分をあらかじめ旅行代金に上乗せすることですが、むしろ被災地の観光業は、復興のためにも便乗値上げをするべきだ、と私は思っています。
プライシング(自社の製品やサービスの価格を決めること)は経営の基本であり、事業者の経営判断の核となります。
しかし政府は、「割引クーポンは配るが、観光業者は既存の値段のままに、旅行者が安く泊まれるようにしろ」と要請しているわけです。
これでは被災地の復興どころか、状況はさらに悪化するばかりです。
そもそも何をもって便乗値上げなのか、旅行商品を安売りすると何が起こるのか、今一度考えてほしいと思います。
なぜ宿泊施設がクーポン配布の際に値上げをしたがるのか。それは「目先の金欲しさ」だけではない理由があるのです。