最新記事
米市場

米でEV低調、ハイブリッド車&プラグインハイブリッド車の販売急増「政策転換に備えたヘッジ手段」

2024年3月21日(木)22時48分
ロイター

オートフォーキャスト・ソリューションズ(AFS)提供のデータに基づいてロイターが計算したところでは、トヨタ自動車とフォード、ホンダが主導する北米のハイブリッド車生産台数が2025年までに全小型トラック生産に占める比率は最大20%に達し、EVの14%をしのぐ展開になってもおかしくない。

AFSのバイスプレジデント、サム・フィオラニ氏はロイターに「昨年EVの(生産)見通しは約100万台下振れたが、ハイブリッド車の見通しはほぼ同じ分だけ切り上がった」と話した。

<強気の見通し>

こうした中でドイツ自動車部品大手シェフラーなどのサプライヤーも、ハイブリッド車生産能力拡大のための長期投資に乗り出している。

シェフラーは米オハイオ州に2億3000万ドルを投じ、ハイブリッド車の運転システムに使う電動アクセル増産のための新工場を建設する計画。同社は現在、フォードの小型トラック「F-150」のハイブリッド車向けの重要部品のサプライヤーだ。

フォードは、F-150の販売におけるハイブリッド車のシェアを現在から2倍に引き上げて20%にすることを目指している。

シェフラーの米国部門を率いるマーク・マクグラス氏はロイターに、小型トラックと大型SUVのハイブリッド車用パワートレインの採用はさらに広がると予想。この分野での主要メーカー全てと協議することになるとの見通しを示した。

消費者の声からもハイブリッド車需要の強さが確認できる。メリーランド州に住むジェレミー・アシュトンさんは、所有していたF-150の燃費の悪さに不満があったため、およそ6万1000ドルでF-150のハイブリッド車に買い換えた。価格はガソリン車タイプと同じか、場合によっては安かった上に、燃費はずっと改善したという。

同州のある販売店の責任者は、23年8月と9月にハイブリッド車の発注を増やし始めたと明かす。12月にはこの店のF-150の販売台数のおよそ35%をハイブリッド車が占めた。

米国のハイブリッド車市場で長らくリーダーの座に君臨しているトヨタも、ハイブリッド車の種類を大幅に増やす方針で、これが販売台数の相当な増加につながると見込んでいる、と同社幹部のデービッド・クリスト氏がロイターに説明した。

クリスト氏は「昨年はハイブリッド車が販売台数の29%、今年これまでは37%。今年は45%に近づくだろう」と述べた。

トヨタの場合、同タイプのガソリン車と比較した際のハイブリッド車の価格面での割高さは、ハイブリッド車の増産が進むとともに縮小傾向にある。クリスト氏によると、かつて1台当たりの価格差は6000─7000ドルだったが今は1500─2000ドルになった。これにより、消費者はハイブリッド車により値ごろ感を持つようになっているという。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20250204issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年2月4日号(1月28日発売)は「トランプ革命」特集。大統領令で前政権の政策を次々覆すトランプの「常識の革命」で、世界はこう変わる


※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

仏当局、ディープシークに質問へ プライバシー保護巡

ビジネス

ECB総裁、チェコ中銀の「外貨準備にビットコイン」

ビジネス

米マスターカード、第4四半期利益が予想上回る 年末

ワールド

米首都近郊の旅客機と軍ヘリの空中衝突、空域運用の課
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ革命
特集:トランプ革命
2025年2月 4日号(1/28発売)

大統領令で前政権の政策を次々覆すトランプの「常識の革命」で世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 4
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 5
    東京23区内でも所得格差と学力格差の相関関係は明らか
  • 6
    ピークアウトする中国経済...「借金取り」に転じた「…
  • 7
    空港で「もう一人の自分」が目の前を歩いている? …
  • 8
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 9
    トランプのウクライナ戦争終結案、リーク情報が本当…
  • 10
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果が異なる【最新研究】
  • 3
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 4
    緑茶が「脳の健康」を守る可能性【最新研究】
  • 5
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 6
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 7
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 8
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 9
    煩雑で高額で遅延だらけのイギリス列車に見切り...鉄…
  • 10
    日鉄「逆転勝利」のチャンスはここにあり――アメリカ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 7
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 8
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
  • 9
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 10
    戦場に「杖をつく兵士」を送り込むロシア軍...負傷兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中