米でEV低調、ハイブリッド車&プラグインハイブリッド車の販売急増「政策転換に備えたヘッジ手段」
オートフォーキャスト・ソリューションズ(AFS)提供のデータに基づいてロイターが計算したところでは、トヨタ自動車とフォード、ホンダが主導する北米のハイブリッド車生産台数が2025年までに全小型トラック生産に占める比率は最大20%に達し、EVの14%をしのぐ展開になってもおかしくない。
AFSのバイスプレジデント、サム・フィオラニ氏はロイターに「昨年EVの(生産)見通しは約100万台下振れたが、ハイブリッド車の見通しはほぼ同じ分だけ切り上がった」と話した。
<強気の見通し>
こうした中でドイツ自動車部品大手シェフラーなどのサプライヤーも、ハイブリッド車生産能力拡大のための長期投資に乗り出している。
シェフラーは米オハイオ州に2億3000万ドルを投じ、ハイブリッド車の運転システムに使う電動アクセル増産のための新工場を建設する計画。同社は現在、フォードの小型トラック「F-150」のハイブリッド車向けの重要部品のサプライヤーだ。
フォードは、F-150の販売におけるハイブリッド車のシェアを現在から2倍に引き上げて20%にすることを目指している。
シェフラーの米国部門を率いるマーク・マクグラス氏はロイターに、小型トラックと大型SUVのハイブリッド車用パワートレインの採用はさらに広がると予想。この分野での主要メーカー全てと協議することになるとの見通しを示した。
消費者の声からもハイブリッド車需要の強さが確認できる。メリーランド州に住むジェレミー・アシュトンさんは、所有していたF-150の燃費の悪さに不満があったため、およそ6万1000ドルでF-150のハイブリッド車に買い換えた。価格はガソリン車タイプと同じか、場合によっては安かった上に、燃費はずっと改善したという。
同州のある販売店の責任者は、23年8月と9月にハイブリッド車の発注を増やし始めたと明かす。12月にはこの店のF-150の販売台数のおよそ35%をハイブリッド車が占めた。
米国のハイブリッド車市場で長らくリーダーの座に君臨しているトヨタも、ハイブリッド車の種類を大幅に増やす方針で、これが販売台数の相当な増加につながると見込んでいる、と同社幹部のデービッド・クリスト氏がロイターに説明した。
クリスト氏は「昨年はハイブリッド車が販売台数の29%、今年これまでは37%。今年は45%に近づくだろう」と述べた。
トヨタの場合、同タイプのガソリン車と比較した際のハイブリッド車の価格面での割高さは、ハイブリッド車の増産が進むとともに縮小傾向にある。クリスト氏によると、かつて1台当たりの価格差は6000─7000ドルだったが今は1500─2000ドルになった。これにより、消費者はハイブリッド車により値ごろ感を持つようになっているという。
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