「安定した会社で定年まで...」では逃げ切れない時代に...「キャリア」と本気で向き合うのに必要なこと
「キャリア3.0」時代は、いまの延長線上では逃げ切れない
大賀 個人のキャリアとの向き合い方は、どう移り変わってきたとお考えですか?
徳谷 「キャリア1.0」時代は、年功序列・終身雇用が前提で、一社に入社すると大きな流れに身を任せていられた。「キャリア2.0」では、転職が一般的になり、会社にとどまる人は昇進・昇格を、転職する人は新たな組織の山頂をめざしてきた。いずれも、これまでの延長線上で、ある程度逃げ切れました。
ところが、これからは、旅のように自ら行き先を決めて、方向性を見出し、必要な武器を身につけて歩んでいく「キャリア3.0」の時代です。これを「キャリアジャーニー」と表現しました。自分がどうありたいかを中長期的な視点で考えないといけないし、正解も一つではない、そんな、自由でもあり、見方によっては過酷ともいえる時代です。
大賀 徳谷さんは2万人のキャリアに向き合ってこられましたが、時代の変化に伴い、個人からの相談内容にも変化はあるのでしょうか?
徳谷 安定していそうな会社に勤めていても、思考停止で定年まで過ごそうとする人は劇的に減りました。「思い切って社外に出るか異動するかして、現状を変えたい」と自律的な選択をする人が増えてきたなと。
一方で、若手の方は「正解を求める思考」がますます強まっています。社会に出て正しいレールを探すものの、何を軸に考えたらいいかわからない。こうした方にこそ、キャリア選択の正解ではなく、選択のための視点や考え方を提供したいですね。
生き方のスタンダードが変化しないと、社会は変わらない
大賀 徳谷さんのお話を聞いていると、「社会のために」という使命感を強く感じます。どんなところに使命感を持っているのでしょうか?
徳谷 エッグフォワードの掲げるミッションは「いまだない価値(Egg)を創り出し、人が本来持つ可能性(Egg)を実現し合う世界を創る。」。そしてめざすビジョンは「人と世界のいまだないターニングポイントを創る。」です。これが私の使命感でもあります。
著書にも「いまだない価値」や「ターニングポイント」「起点」といった言葉が数多く出てきます。それは、変化の起点になり、それが波及していくような世界観を大事にしているから。ミッションで「人が本来持つ可能性を実現し合う」と表現しているのも、連鎖するような社会構造をイメージしているからです。