テレビ・映画に加え、「第3次ストリーミング戦争」でネット配信も不調...ハリウッドに「大収縮」の危機
<「スーパーヒーロー疲れ」>
映画産業では、かつてはヒットが確実視されたフォーマットでも興行収入が振るわなくなっており、やはり存亡に関わる危機を抱えている。あるベテランの製作スタジオトップは、ここ数年「スーパーヒーロー疲れ」という言葉をよく聞くという。それが顕著に表面化したのが昨年で、「マーベルズ」「シャザム!―神々の怒り―」「ザ・フラッシュ」など、巨額の予算にもかかわらずヒットせずに期待を裏切る作品が相次いだ。
その反動として映画会社は、数少ない野心的な企画、たとえば「オッペンハイマー」や「バービー」といった規模の、文化的・興行的影響のある作品を生み出す可能性にフォーカスしていくというのが業界関係者の観測だ。両作品とも、実績のあるシリーズ作品が低迷する中で、2023年の興行成績を下支えするのに貢献した。
近年で最大のヒット作の1つに関わった映画会社幹部は、「スペクタクルが必要だ」と語る。「映画館で公開されているうちに見なければ、という雰囲気が欲しい。自宅で見ても変わらないのであれば、大作にはゴーサインを出せない」
TDコーエンによれば、観客は大音量の超大作以外は、ストリーミングサービスでの鑑賞を好む。2022年の上位100作品では、その興行収入全体の56%を、わずか19本のアクション・冒険映画が稼ぎ出した。こうした興奮度の高い作品を除けば、持続可能な回復は見込めないとTDコーエンは指摘する。
投資家でもあるもう1人の経験豊富なメディア企業幹部は、こうなれば映画産業はさらに縮小すると述べ、公開される映画が少なすぎて、全米の3万9000カ所もの映画館を維持することが正当化できなくなると警告する。TDコーエンの見方も同じだ。このメディア企業幹部は、映画館ビジネスは「危機にひんしている」と話した。
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