今年のクリスマス・プレゼントはチョコが人気に イギリス、苦しい懐事情を反映
ホリデーシーズンを迎えた英国で、チョコレート「クオリティストリート」を製造するスイスの食品大手ネスレと、キャドバリーを傘下に収める同大手モンデリーズ・インターナショナル の製菓部門の売上が好調だ。写真はキャドバリーのチョコ製品。11月撮影(2023年 ロイター/Phil Noble)
ホリデーシーズンを迎えた英国で、チョコレート「クオリティストリート」を製造するスイスの食品大手ネスレと、キャドバリーを傘下に収める同大手モンデリーズ・インターナショナル の製菓部門の売上が好調だ。家計の苦しくなった消費者が、低価格のギフトを志向しているためという。
アナリストや消費財関連企業によれば、今年はインフレや住宅ローン金利の上昇に苦しむ買い物客が、これまでより安いギフト商品を購入しているという。玩具や最新のデバイスには背を向け、この1年で値上がりしたとはいえ相対的には安上がりなチョコレートを選んでいる、と業界幹部は言う。
ネスレの英国アイルランド事業部で顧客カテゴリー主任マネジャーを務めるフラン・マッカーゴ氏は8─11月の前年比実績について、「特に出足が好調なのが箱入りチョコレートで、販売額ベースで前年比8.7%増になっている」と述べた。
また個包装チョコレートの売上高は、2.1%の伸びで、ネスレとしては、クリスマスプレゼントとしてチョコレートを購入する消費者が増えていると同氏は説明する。
購入者がそうした商品に支出する額は、通常10ポンド(約1800円)以下で、人気を集めているのは、ネスレの缶入り「クオリティストリート」(1缶5ポンド)やモンデリーズの「キャドバリー」特製ボックス(1箱1.5ポンド)だという。
これに対して、市場調査会社サカーナ(旧NPD)によれば、欧州における玩具の平均販売価格は約13ポンド。複数の玩具メーカーは今月初め、今年は需要が減少しているとロイターに語った。
介護施設職員のボニー・ジョンソンさん(42)は、「チョコレートなら手ごろな価格だ。玩具やその他のギフト商品は値上がりしたが、チョコレートは上がっていない」と話す。「ギフトとしては安上がりで、かなりたくさんの人に贈ることができる」
英スーパーマーケット大手セインズベリーやテスコといった小売企業は、会員カードを持つ顧客に対して、「クオリティストリート」や「セレブレーションズ」を割引価格で提供している。
クリスマス商戦で例年販売好調なネスレ傘下のブランドとしては、この他に「キットカットサンタ」(1ポンド強)や「ミルキーバー・フェスティブフレンズ」(1.25ポンド)がある。