お金のプロはこう考えている...「老後の備え」と新NISA、本当の「最適解」とは?
How to Prepare for Old Age
どういう「老後」を送るのかによっても保有すべき資産額は変わる WHYFRAME/SHUTTERSTOCK
<「2000万円問題」で老後の不安を抱える人は多い。「資産を守る」には何が必要で、新NISAをどう活用すべきかを投資のプロに聞く。本誌「まだ間に合う 新NISA 投資入門」特集より>
何のために投資をするか──目的は人それぞれだが、「将来や老後に備えた資産形成のため」と考える人は多いだろう。9月に日本銀行が発表した統計によれば、家計の金融資産は過去最高の2115兆円に達したが、その過半数は現預金。つまり、既にある程度の資産を保有する人でも、その多くを貯金したまま「眠らせている」のが日本の現実だ。
ではインフレが本格化しようとしている現在、資産をこのまま貯金の形で持っておくことが、本当に老後に備えて資産を「守る」ことになるのか? 老後に不安があるならなおのこと、お金との付き合い方を見直すべき時が来ていると言える。
「まず、新NISAという素晴らしい制度ができ、これを有効に活用すべきだということは言っておきたい」「一方で、新NISAとは関係なく、現在は『時代の転換点』であることも認識しなければならない」と話すのは、投信運用や投資助言を行うレオス・キャピタルワークスの藤野英人会長兼社長。「インフレという社会的な脅威が始まった今のタイミングで、たまたまこれと戦うための新NISAという武器を授かったと考えるべきだ」と言う。
長いデフレがついに終わり、インフレの時代に差しかかっている日本では、資産についての「合理性」も以前とは変化している。「デフレではお金の価値が上がるので、節約してお金をためるという考え方には合理性があった」と、藤野氏は言う。その時代が30年続いたため、日本ではある種の「正解」として根付いた。
「現金の価値が下がって目減りするインフレ経済を実感として知っている人は少ない。だが、今までは良かったことがそうではなくなり、『投資をしなければならない』時代になった。現金だけで持っているのはむしろリスクがあるため、資産を『増やす』というよりも『守る』ために、10%でも20%でもいいので資産の一部を投資に充てていくべきだ」
■資産を「守る」ための投資法
では、資産を守るための投資には、どういった考え方や方法が求められるのか。藤野氏によれば、そこには「3つの原則」がある。「小さく、ゆっくり、長く」だ。
藤野氏は「1000万円の貯金がある人は結構いる。そういう人が投資を始める際にどんと株に突っ込み、株価が下がったことに焦って売ってしまい、損をして『もう二度と投資はしない』となってしまうことがある」と話す。「NISAは儲かった部分を非課税にする制度で、損を補塡してくれるものではない」