77%が「管理職になりたくない」、男女で違う理由、打診を断られない方法は?
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<経営者からは嘆きの声。出世したくない若者が増えているが...>
働き方が多様化しワークライフバランスが重視される中、「管理職になりたくない」と思う人が増えているようです。日本能率協会マネジメントセンターの調査によると「管理職になりたくない」と答えた一般社員は77.3%にのぼります。
組織開発コンサルタントである筆者にも「社員に管理職を打診したら断られた」という経営者からの嘆きの声が上がってきます。しかし、組織存続のためにマネジメント層はなくてはならない存在です。
今回は、管理職になりたいと思う社員を増やしていくにはどのような取り組みが必要なのか考えていきたいと思います。
【参考】「管理職の実態に関するアンケート調査」2023年/日本能率協会マネジメントセンター
管理職になりたくない理由とは
昇格により収入が増えキャリアアップにもなるはずなのに、多くの人が「管理職になりたくない」と思う理由はなんでしょうか。
その理由を一言で要約すると管理職というマネジメントを行う役割に対して、マイナスなイメージが浸透していることではないかと考えられます。代表的なマイナスイメージは、下記の3つです。
■1. 責任が重すぎる
管理職になると自分のことだけではなく、チーム全体の業務に対して責任を負わなければならず精神的なストレスが大きいため。
■2. 業務量や拘束時間が増える
新たにマネジメント業務が付加され業務量が増えるだけではなく、夜間や休日も緊急対応で呼び出しがかかる場合もあり、プライベートは重視できないため。
■3. 完璧を求められる
誰よりも業務内容を熟知してチームを引っ張っていけるような強靭なリーダーシップを発揮できる完璧なリーダーを求められる。
こうしたマイナスイメージが広がり、管理職になるメリットが少ないという認識が定着していると考えられます。
男女別「管理職になりたくない理由」
管理職になりたくない理由について、男女別の特徴を見てみましょう。
■女性
1位:責任が重い
2位:仕事・残業が増える
3位:管理職に向いていない
■男性
1位:責任が重い
2位:割に合わないと感じる
3位:仕事・残業が増える
男女とも管理職になりたくない理由は類似していますが、特に「仕事・残業が増える」という理由において男性よりも女性のランキングが高い結果から見ると、ライフステージの変化が大きい女性には家庭やプライベートを犠牲にする働き方は望まないという傾向が強いと考えられます。また、「管理職に向いていない」という女性の回答が多いのも特徴的です。
従来型の組織において、管理職といえば圧倒的に男性でした。女性活躍推進の動きが加速し女性管理職が増加しているとはいえ、まだ多くの企業では、男性の管理職が多数を占めます。そのような男性管理職の働き方は、長時間労働が当たり前。プライベートを犠牲にし、強いリーダーシップを発揮してチームをまとめているというイメージが強いのです。
そんな組織環境で育ってきた女性社員にとって、無意識のうちに管理職=男性であり、子育てや介護をしている女性には務まらないという認識が広がっていると考えられます。
【参考】「管理職になりたくない理由」アンケート調査2022年/株式会社ビズヒッツ