米輸入関税の抜け穴「デミニミス」が激安中国製品の流入招く TikTokもEC参入か
連邦議員による超党派グループは6月、中国からの「デミニミス」対象の輸入を禁止する、即時執行の法案を提出した。
中国製品と中国で設立された企業が「デミニミス」の恩恵を受けているという事実は、一部の連邦議員をいら立たせている。下院歳入委員会で委員長を務めるジェイソン・スミス下院議員(共和党)は5月に行われた公聴会で、同ルールは「中国との自由貿易協定」に等しいと述べた。
不公正な優位か
シーインとティームーが市場シェアを伸ばす中で、競合する米国の小売企業も「デミニミス」による関税免除への懸念を強めている。
上院の記録によれば、2018年以来、「デミニミス」についてロビー活動を行った小売企業は、コーチの親会社であるタペストリーや、日本発のフリーマーケットサイトであるメルカリなど10数社を数える。
コロンビア・スポーツウェアやAAFAなど、一部の小売企業や業界団体は、800ドル以下という上限を維持しつつ、米国の外国貿易地域(FTZ)に立地する配送センターから商品を出荷している小売企業も、同様の関税免除措置を利用できるようにするという案を支持している。
上限金額を引き下げるか完全に撤廃するのが望ましいと考える企業がある一方で、日常的にこの「デミニミス」を利用している企業は何も変更しない方がよいとしている。
6月に発表された下院委員会の報告は、H&Mとギャップが2022年に支払った輸入関税がそれぞれ2億0500万ドル、7億ドルだった一方、顧客に直接商品を送付しているシーインとティームーは、まったく輸入関税を払っていないと指摘している。
スティーブ・ストーリー氏が経営するエイペックス・ロジスティクス・インターナショナルは、小売企業その他の事業者に「デミニミス」に基づく商品出荷の支援を提供しており、同氏はこの免税措置はあらゆる企業に開かれたものだと主張。「コストを節約し、こうした電子商取引のパラダイムシフトを生かそうとしないのであれば、ただ敗れ去るだけだ」と言う。