最新記事
米中対立

米輸入関税の抜け穴「デミニミス」が激安中国製品の流入招く TikTokもEC参入か

2023年8月14日(月)11時27分
ロイター

関税免除

これまでの小売企業は通常、海上輸送で商品を大量に輸入し、港湾に商品が到着した時点で関税を払い、倉庫に移動させた上で、店舗に向けて出荷するか、オンラインで注文した個人顧客に送付していた。

米国では、「デミニミス」が適用される小口貨物は関税の対象外で、税関の検査も回避される例が多い。通常は、UPSやフェデックスその他の宅配事業者に引き渡される。

また、中国から海上輸送で出荷された商品が、メキシコやカナダの保税倉庫に一括して到着する場合もある。顧客がオンラインで注文すると、商品は個別に包装されて陸路で米国に運ばれるが、この場合も関税はかからない。

「デミニミス」ルールが導入されたのは1938年。当初は、海外から郵送される贈答品や、外国旅行をした米国人が持ち帰る土産物が対象として想定されていた。2015年、連邦議会は同ルールの対象となる上限金額を200ドルから800ドルに引き上げ、世界でも有数の寛大な基準となった。

バーロウ&カンパニーで貿易分野を専門とする弁護士エリック・オーター氏によれば、ほぼ同じ頃、電子商取引が爆発的に成長し、この免税措置のもとで出荷される小包が増加したという。

(Katherine Masters記者、翻訳:エァクレーレン)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2023トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

SDGs
使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが「竹建築」の可能性に挑む理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米相互関税は世界に悪影響、交渉で一部解決も=ECB

ワールド

ミャンマー地震、死者2886人 内戦が救助の妨げに

ワールド

ロシアがウクライナに無人機攻撃、1人死亡 エネ施設

ワールド

中国軍が東シナ海で実弾射撃訓練、空母も参加 台湾に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 7
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中