韓国、ウクライナ危機で武器需要高まるポーランドと約2兆円規模の大型提携 巨大軍産複合体目指す
英国に本社を置くエージェンシー・パートナーズの防衛・航空宇宙アナリスト、サシュ・トゥサ氏は、両国の長期的な計画には困難が伴うだろうと言う。政治情勢が変化し、榴弾砲や戦車の需要が減少する可能性もあるからだ。
トゥサ氏によると、生産と需要が維持できたとしても、欧州諸国はポーランドのように自ら韓国と提携することを望むかもしれない。共同生産合意を結べば、雇用創出と産業活性化につながるという。
4年で1両も納品しないドイツ、数カ月で34両納品した韓国
韓国の南海岸にあるハンファ・エアロスペースの工場では、巨大な自動化ロボット6台と生産労働者150人以上が、ポーランド向けに47トンのK9自走榴弾砲を製造している。
チャ・ヨンス製造部長は、需要に対応するため、50人程度の増員と生産ラインの増設を見込んでいると明かした。「基本的には、どんな注文にも応えられる」という。
ポーランド当局者らは、韓国がどの国よりも迅速な武器納入を提案したことが、選考の決め手になったと語る。K2(10両)とK9(24両)の初出荷分は、契約締結からわずか数カ月後の昨年12月にポーランドに到着し、その後、少なくとも戦車5両と榴弾砲12両が追加納入された。
これに対し、やはり武器製造大国であるドイツは、ハンガリーが2018年に発注した新型戦車レオパルト44両をまだ1両も納入していないと、ポーランド国際問題研究所のシニアアナリスト、オスカル・ピエトレビッチ氏は言う。
「この地域の主要な武器提供国であるドイツの生産能力が限られていることを考えると、韓国のオファーに対する各国の関心は、高まる一方かもしれない」と同氏は述べた。
韓国の武器産業の幹部らも、納入の迅速さが将来の顧客に対するセールスポイントになるだろうと述べている。
韓国の軍と軍需産業は密接な関係にあるため、国内の受注を調整して輸出用の生産能力を確保することができる、と関係者は言う。
欧州の防衛産業幹部は「韓国は、われわれが何年もかかるようなことを数週間から数カ月間でまとめてしまう」と語った。
航空機メーカー、韓国航空宇宙産業のグローバルビジネス&ストラテジー担当バイスプレジデントであるチョー・ウーラエ氏は、韓国は北朝鮮との緊張が絶えないため、軍事生産ラインは強いプレッシャーの下に稼働し続け、武器の開発、試験、アップグレードが繰り返されてきたと説明した。
韓国防衛事業庁(DAPA)のキム・ヒョン・チョル次長は、韓国はウクライナ戦争前からポーランドに武器を売り込んでいたが、ロシアの侵攻によってポーランドの関心が高まったと述べた。
韓国の武器が、米国やNATOのシステムと互換性を持たせる設計になっている点もセールスポイントだ。
ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、韓国はNATOとその加盟国に対する第3位の武器供給国であり、購入額の4.9%を占めている。
ただ、米国の65%、フランスの8.6%には遠く及ばない。