最新記事

プロダクト

加熱式たばこ「メビウス」、70円値下げの衝撃に隠された変化

2023年4月14日(金)11時20分
高野智宏

西野氏は「日本人のお客様は、単に強い弱い、甘い苦いでは受け入れられない。味わいの先にある"複雑さ"を求める傾向にある」など、日本人の味覚の繊細さを意識しブレンドを行ったエピソードを披露した。

対して齋藤氏は「オリジナルカクテルの開発では、多くても10回程度。1000回の試喫には脱帽です」と舌を巻く。

日本人の味覚の繊細さに関して齋藤氏は、「味覚同様に繊細さを感じるのは嗅覚です。私のオリジナルカクテルで多く評価いただくのは味わい以上に香りであり、それは四季のはっきりした風土で季節の香りを感じ、繊細な味わいの食材を食べてきた日本人ならでは」と語った。

「たばこ葉のブレンドもカクテル作りも、日本人の繊細な味覚と嗅覚を意識して作るという意味では、共通点も多いですよね」

また、お互いがブレンドにおいて最も大切にしていることは何かと聞かれると、バーテンダーの齋藤氏は「会話の中からお客様の状態を自分ごととして把握し、いまお客様が欲しているであろう味と香りを実現した"自分だけの1杯"を提供すること」と回答。

対して西野氏は「私はたばこを食事やお酒同様、文化のひとつだと考えています。文化だけに終わりがなく、しかも加熱式たばこの味わいと香りの追求にはまだ伸び代はあるが、今回のリニューアルで喫味は十分に向上できたし、大きな一歩となったと思う」と応じた。

「今回のリニューアルが少しでもお客様の満足へと繋がり、たばこ文化へ貢献できたなら何よりです」

つまりは、ふたりともがユーザーの満足度を第一に考えるカスタマーファーストの信念を胸に、それぞれのフィールドでブレンドを行っているということだ。

business20230414ploomx-3.jpg

リニューアルされたPloom X用のメビウス。左から「ディープ・レギュラー」「シャープ・コールド・メンソール」「パープル・オプション」

さらに「今回ブレンドを手掛けた4銘柄の中でも、他の銘柄以上にプロトタイプを作成して試喫を多く重ね、味、香りともに満足度の高いたばこに出来た『ディープ・レギュラー』に思い入れがある」と西野氏が言えば、齋藤氏も「新旧銘柄を吸い比べてみて、最も味わいの進化と"本物のたばこ感"を感じたのが、『ディープ・レギュラー』でした。例えば、アイリッシュコーヒーやエスプレッソ・マティーニなど、たばことの相性が良い、コーヒーカクテルなどとのペアリングがお勧めです」と、提案した。

なお、味・香りの変更を行う必要がないと判断した「オプション」シリーズを含め、今回、「メビウス」の全8銘柄でパッケージも刷新された。

さらにはリニューアルに合わせ、「Ploom X」デバイスは4月30日まで、メーカー希望小売価格1980円(税込)が980円(税込)になるキャンペーンを実施している。大人の知性や落ち着きを感じさせる深い青色が特徴の数量限定カラー「ディープスカイブルー」も、同じくキャンペーンの対象となり、980円で販売中だ。

家計が逼迫する際、削減の対象となりやすいのが酒やたばこといった嗜好品だけに、この大幅な値下げは愛煙家にとって願ってもないこと。しかし、決して価格競争力を高めるためだけに値下げしたのではないことが、今回のリニューアルにかけるJTの意気込みとカスタマーファーストの姿勢から分かるだろう。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ベトナム共産党、国家主席にラム公安相指名 国会議長

ワールド

サウジ皇太子と米大統領補佐官、二国間協定やガザ問題

ワールド

ジョージア「スパイ法案」、大統領が拒否権発動

ビジネス

必要なら利上げも、インフレは今年改善なく=ボウマン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 8

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 9

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中