最新記事

EV

電動トラックがブレイク、グーグル搭載車が急増? 2023年、自動車業界10の予測

TEN AUTO PREDICTIONS

2023年1月26日(木)11時50分
ジェイク・リンジマン

7. EV普及に新法が効果を発揮するのは先

「今年もEVは自動車市場で着々と支配を確立していくが、23年は大きな転換期にはならない」と、ブリンリーは予想する。

「22年夏に成立したインフレ抑制法には購入者の税額控除など、EVの販売拡大を支援する条項がいくつか含まれる。だが組み立てや一部の部品の製造を国内で行うといった条件があり、メーカーの対応に時間がかかる。法律の効果が顕著に表れるのは、20年代の後半だろう」

ジョー・バイデン大統領はインフラ整備にも意欲的だが、「充電設備の拡大に資金を投じるEVインフラ法も、効果を発揮するのに時間がかかる。充電ステーションは一朝一夕に増設できるものではない」と、ブリンリーは指摘する。

8. 子育て世代に人気の3列シートEVが充実

「ミレニアル世代は上の世代よりもEVの購入に意欲的であることが、私たちの調査から浮かび上がってきた」と、キムは言う。

「いまミレニアル世代は子育ての真っ最中。3列シートSUVの売り上げは主に彼らが支えているが、市場にはその需要に応えるだけの3列シート電動SUVがない。

そんな状況が今年は変わる。現代自動車はアイオニック7、起亜はEV9、ビンファストはVF9を発売し、来年は3列シートEVがさらに増える見込み。ミレニアル世代は現在アメリカ最大の人口を誇る。その需要を満たすという意味で、3列シートEVの重要性は侮れない」

230131p43_JDG_02.jpg

EV9は起亜自動車初の電動SUV KIA

230131p43_JDG_03.jpg

ベトナムのビンファストが発売したVF9 SEBASTIEN MAUROY

9. ダッシュボードにグーグル搭載

「アップルのカープレイやアンドロイド・オートは誰でも知っているだろう。だが今年はグーグルを搭載した新車が急増する」と、オートリストのアンダーコフラーは語る。

「ホンダ、フォード、シボレー、GMC、それにボルボが、グーグル・マップとグーグル・アシスタントとグーグル・プレイをまとめたパッケージをダッシュボードのインフォテインメント・システムに採用。通常のグーグル・アカウントでログインすれば、スマホを介さなくとも全履歴が車内のシステムに反映される仕組みだ」

10. 価格は下がらない

最後に。S&Pのブリンリーによれば「1年を通じてEV普及のインセンティブは多少増えるかもしれないが、自動車の価格が全体的に下がる見込みは薄い」とのことだ。

20250408issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月8日号(4月1日発売)は「引きこもるアメリカ」特集。トランプ外交で見捨てられた欧州。プーチンの全面攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

トランプ氏側近、大半の輸入品に20%程度の関税案 

ワールド

米、中国・香港高官に制裁 「国境越えた弾圧」に関与

ビジネス

英インフレ期待上昇を懸念、現時点では安定=グリーン

ビジネス

アングル:トランプ政権による貿易戦争、関係業界の打
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 8
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 9
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中