「全部自分のせいだ!」と落ち込んでも、実は誰も見ていないという寂しい結果
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※第1回:「何でも他人の責任」な人より、責任感の強い「優秀な人」の方が大きな失敗をする事実 より続く
現代を生きる私たちに必要なのは、「折れない心」だという。そのためにも路頭に迷ったときに元の道に戻してくれる、道しるべが大切になる。全米200万人の人生を変えてきたベストセラー『9ルール──自分を変える「黄金の法則」』(大和書房)より抜粋する。
君は世界の中心じゃない(スポットライト効果)
2000年にさかのぼるが、おかしな言葉が、学術誌『Current Directions in Psychological Science(心理科学における現在の方向性)』を通して、心理学の世界に登場した。心理学者のトーマス・ギロヴィッチとケネス・サヴィツキーがつくった「スポットライト効果」という言葉だ。
それは、自分が実際よりもはるかに注目され、注視され、観察され、何より「裁かれている」と感じることだ。自分は自分の世界の中心人物だから、ついほかのみんなの世界でもど真ん中にいる、と信じてしまうのだ。
コーネル大学のギロヴィッチは、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のジャスティン・クルーガー、ノースウエスタン大学のヴィクトリア・メドヴェクと協力して、「スポットライト効果」をさらにじっくり調べた。
コーネル大学の学生グループに対して、「容姿」「運動能力」「ビデオゲームの腕前」という3つの分野で、自分の能力が他人の目にどう映っているかを評価してもらった。
どんな結果が出たと思う? 被験者は常に、自分の長所や短所が観察者に注目される度合いを大げさにとらえていた。それは重大なことだろうか? もちろんだ。研究者によると、人に裁かれることを恐れる気持ちは、社会不安や長く続く後悔につながりかねない。
では、常に自分にスポットライトが当たっている気がしても、実際は違うのだとしたら、一体どうすればいいのだろう? 答えはシンプルだ。スポットライトをずらせばいい。
覚えておいてほしい。あなたは自分にスポットライトが当たっていて、暗い客席にいるみんなが自分を見つめ、観察し、次の動きを待っている、と信じている。でも、そんなことはない。では、どうすれば自分に向いているそのライトを、心の中でずらせるのだろう?