最新記事

ビジネス

「全部自分のせいだ!」と落ち込んでも、実は誰も見ていないという寂しい結果

2022年12月24日(土)08時57分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
考える人

Mihaela Rosu-iStock

<若い人ほど失敗に弱いのは、失敗した経験が少ないから。失敗に傷ついてしまう人のための「スポットライト効果」と、それをずらす方法について>

※第1回:「何でも他人の責任」な人より、責任感の強い「優秀な人」の方が大きな失敗をする事実 より続く

現代を生きる私たちに必要なのは、「折れない心」だという。そのためにも路頭に迷ったときに元の道に戻してくれる、道しるべが大切になる。全米200万人の人生を変えてきたベストセラー『9ルール──自分を変える「黄金の法則」』(大和書房)より抜粋する。

◇ ◇ ◇


君は世界の中心じゃない(スポットライト効果)

2000年にさかのぼるが、おかしな言葉が、学術誌『Current Directions in Psychological Science(心理科学における現在の方向性)』を通して、心理学の世界に登場した。心理学者のトーマス・ギロヴィッチとケネス・サヴィツキーがつくった「スポットライト効果」という言葉だ。

それは、自分が実際よりもはるかに注目され、注視され、観察され、何より「裁かれている」と感じることだ。自分は自分の世界の中心人物だから、ついほかのみんなの世界でもど真ん中にいる、と信じてしまうのだ。

コーネル大学のギロヴィッチは、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のジャスティン・クルーガー、ノースウエスタン大学のヴィクトリア・メドヴェクと協力して、「スポットライト効果」をさらにじっくり調べた。

コーネル大学の学生グループに対して、「容姿」「運動能力」「ビデオゲームの腕前」という3つの分野で、自分の能力が他人の目にどう映っているかを評価してもらった。

どんな結果が出たと思う? 被験者は常に、自分の長所や短所が観察者に注目される度合いを大げさにとらえていた。それは重大なことだろうか? もちろんだ。研究者によると、人に裁かれることを恐れる気持ちは、社会不安や長く続く後悔につながりかねない。

では、常に自分にスポットライトが当たっている気がしても、実際は違うのだとしたら、一体どうすればいいのだろう? 答えはシンプルだ。スポットライトをずらせばいい。

覚えておいてほしい。あなたは自分にスポットライトが当たっていて、暗い客席にいるみんなが自分を見つめ、観察し、次の動きを待っている、と信じている。でも、そんなことはない。では、どうすれば自分に向いているそのライトを、心の中でずらせるのだろう?

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 10
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中