ゼロコロナ緩和した中国、感染報告を縮小 実態不明で経済の先行き見えず
公式発表によると、中国の新型コロナ新規感染者数はこの1週間で急激に減少した。13日発表の有症状感染者数は2291人で、ピークだった5日の5046人から半分以下に減った。
だが、実際には一部地域での感染拡大のうわさが流れ、発熱外来前に長蛇の列ができてインフルエンザ治療薬の争奪戦が起きるなど、感染の急速な拡大が見て取れる。
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新型コロナに関する信頼できる公式データがないため、ノムラの首席中国エコノミストのティン・ルー氏は、感染状況を追跡するために中国インターネット検索最大手の百度(バイドゥ)など新たな情報源を利用するようになった。
ルー氏の執筆した13日の顧客向けリポートによると、百度の検索サイトでは新型コロナ関連のキーワードでの検索回数が急増しており、おそらく今の感染拡大の震源地となっている首都・北京など主要都市で、局所的に感染が急増しているという。ルー氏は来年1月下旬の春節(旧正月)ごろに、かつてない規模の感染拡大が起きると予測している。
インベスコのアジア太平洋地域担当グローバル・マーケット・ストラテジスト、デービッド・チャオ氏は、大規模検査が終了したため、医療制度に目を向けるようになった。医療制度崩壊の兆候が表れれば、隔離など厳しい管理体制に戻る可能性があるからだ。
投資家にとってもう1つの課題は、感染増加による労働者不足の可能性と、コロナとの共生に対する国民の反応を見極めることだ。
調査会社ガベカル・ドラゴノミクスの調査責任者、アーサー・クローバー氏によると、中国のコロナ政策転換は非常に速いため、同社の都市におけるコロナ制限指数には、まだ反映されていない。「今後1、2カ月は実施に伴う混乱が続く」とクローバー氏は予想した。
投資家に慎重な姿勢を促すのはBNYメロン・インベストメント・マネジメントのアジアマクロ・投資戦略部門を率いるアニンダ・ミトラ氏。リポートで「中国の幅広い開放への移行は現在進行中で、楽観視は当然だが、一方的な賭けではない」とくぎを刺した。
モルガン・スタンレーは長期的な観点から、中国は経済再開で2023年に5%成長を達成できると見込んでいる。
しかし、モルガン・スタンレーの首席中国エコノミスト、ロビン・シン氏は、それでも「短期的な痛みは避けられない」と感じている。「来年の春が始まるまで成長は低迷を続けそうだ」という。
(Summer Zhen記者、Samuel Shen記者)