iPhone買うと5万円の利益!? 「販売しろ」と怒声の転売ヤーに店員が従うしかない理由
制度の隙が、人を転売ヤーに変えてしまう
転売ヤーは制度の隙を突いてくる。転売行為を止めたいのであれば、制度そのものを変えるしかない。......と、きれいに結論付けたいところだが、移動機販売が流行してからはインターネット上では移動機販売で端末を購入し利益を出すためのマニュアルなどが販売されるような状況になっているし、SNS上で携帯電話の転売に関するトピックを大っぴらに話す人も増えた。
携帯電話の転売シーンは、電気通信事業法の改正前後で状況が大きく変化したように感じられる。恫喝を行うような行為がまかり通るようになったのも、法改正が行われたからだ。
そうなると「転売ヤーが制度の隙を突いてくる」のではなく、「制度の隙が、人を転売ヤーに変えてしまう」のではないだろうか?
そうなると、転売行為が行われないような制度設計を行う必要があるのだが、利益を目的とした携帯電話の購入や販売はポケベルやPHSの時代から存在している。短絡的に「これを変更すれば、すべてうまくいく」という簡単な話ではない。
今まで一般人から見て携帯電話の世界は「複雑で難しいから」という理由で、非常に身近であるにもかかわらずスルーされがちな分野だった。今回の転売問題で多少なりともスポットライトが当たり、前向きな議論が行われることを祈っている。
山野 祐介(やまの・ゆうすけ)
行動するお金博士
1991年生まれ。自らの節約生活をもとにした「1%でも安くしたいっ!」を月刊誌で連載中。節約術やお金の最新事情に精通。