最新記事

自動車

マツダ新型SUV「CX-60」はBMWを超えたか パワーと燃費の両立は高級ドイツ車を凌駕

2022年7月9日(土)15時05分
山崎 明(やまざき・あきら) *PRESIDENT Onlineからの転載

パワーと燃費の両立を実現したCX-60。注目は直列6気筒ディーゼルエンジンモデルか。写真はCX-60 XD-HYBRID Premium Modern。写真提供=マツダ


今年9月、マツダが新型SUV「CX-60」を発売する。マーケティング/ブランディングコンサルタントの山崎明さんは「ドイツ車と同じFRと直列6気筒を採用したことで、マツダ車の課題だった走りが見違えるものになる可能性がある。またパワーと燃費の両立は、ドイツプレミアムブランドをはるかに超える水準を達成している」という。


マツダはBMWを超えられるか

私は4年前の2018年、『マツダがBMWを超える日』という本を書いた。

マツダは2010年から「魂動デザイン」を推進していて、欧州プレミアムブランドのようなデザインの一貫性・統一性をもたせ、内外装の品質レベルを大きく向上させようとしていた。いわば欧州プレミアムブランドのような戦略に、日本メーカーの中で唯一挑戦したわけだ。

高圧縮を実現し燃焼効率を上げたガソリンエンジン、逆に低圧縮で後処理なしに規制をクリアできるディーゼルエンジンなど、独自性の高い技術(総称してSKYACTIV)も次々導入された。そしてそれが成果としても表れ、各モデルの販売単価は大きく上昇し、それまでの大幅値引きによる販売から高付加価値モデルを中心とした販売になり、ブランドイメージも大きく変化していた。

この動きを見て、同じく運転の楽しさをブランド価値のコアに置くBMWと比肩するブランドに育っていく可能性があるのではないかと思い、このようなタイトルとしたのである。

プレミアムブランド化の反面、走行性能に課題あり

2018年以降に発売されたモデルもそのデザインレベル、内外装の仕上げレベルはさらに向上し、少なくともショールームで見る限りはドイツプレミアムブランドの同車格モデルと比べても勝るとも劣らないレベルに達していた。

最近の最量販モデルは中型SUVのCX-5で、しかも高品質な内装を備え400万円クラスの最上級グレードであるエクスクルーシブモードが最も売れ筋となっていて、輸入車からの乗り換えも増えているらしい。高価なディーゼルモデルのロイヤルティー(マツダからマツダへの乗り換え)も8割を越えている。

マツダブランドのプレミアムブランド化は着実に進んでいるように見受けられる。しかし肝心の走りという意味では、最新モデルでもレベルアップは果たしていたもののまだBMWのレベルには達していない、というのが私の正直な印象だった。

FRを選択したCX-60の挑戦

しかし今年、いよいよ走りのレベルでもBMWと同列で語り得るのではないかというモデルが登場する。現在の最高価格帯を担うCX-5/CX-8(CX-8は3列シートモデル)のさらに上級価格帯を狙う、CX-60である(3列シート版のCX-80も控えている)。

最近のマツダ車は、ロードスターを例外としてすべてFF(前輪駆動)を基本としてきたが、CX-60はFR(フロントエンジン、リア駆動)を採用したのである。メルセデスベンツとBMWは伝統的にFRを採用しており、現在でもミドルレンジ以上の車種はすべてFRである。トヨタもレクサスの最上位モデルはFRを採用している。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

尹大統領の逮捕状発付、韓国地裁 本格捜査へ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 8
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 9
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 10
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中