最新記事

G20

ウクライナめぐる対立に揺れたG20財務相会合、共同声明採択できず 食料問題では合意

2022年7月17日(日)10時52分
インドネシアのムルヤニ財務相

インドネシアで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は16日、世界的な食料不安と債務増への対応を確約したが、ウクライナ侵攻で各国が分裂する中、政策面での成果はほとんど得られなかった。写真はセミナーで演説するインドネシアのムルヤニ財務相。15日にヌサドゥアで代表撮影(2022年 ロイター)

インドネシアで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は16日、世界的な食料不安と債務増への対応を確約したが、ウクライナ侵攻で各国が分裂する中、政策面での成果はほとんど得られなかった。

イエレン米財務長官は、各国の相違により共同声明は発表できないが、深刻な食料安全保障に対応する必要性で「強い合意」が得られたと述べた。

議長国のインドネシアは議長総括を発表する。ムルヤニ財務相は、ウクライナに関する部分を除き、ほぼ全ての項目で合意が得られたと述べた。

イエレン長官は「ロシアはG20の一員であり、ウクライナ戦争について他の国々と意見が一致しなかった」としつつ、こうした不一致が緊迫した世界的な問題の進展を妨げるべきではないと指摘した。

ロシアの財務相はオンラインで、財務次官は直接出席した。ウクライナの財務相もオンラインで参加し、「的を絞った厳しい制裁」を求めた。

インドネシア財務相は、ウクライナを巡り分裂したG20をまとめるのは困難としながらも、食料問題に特別な注意が必要との点で全加盟国が同意し、供給を妨げている通商問題の解消を訴えた。

G20は、食料・肥料の供給問題に対処するため、財務相・農相による共同フォーラムを設置する。

共同声明で合意できなかったことについて専門家からは、強力な経済グループだったG20の脆弱性を示しているとの指摘が出ている。


[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:最高値のビットコイン、環境負荷論争も白熱

ビジネス

決算に厳しい目、FOMCは無風か=今週の米株式市場

ビジネス

中国工業部門企業利益、1─3月は4.3%増に鈍化 

ビジネス

米地銀リパブリック・ファーストが公的管理下に、同業
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ」「ゲーム」「へのへのもへじ」

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 6

    走行中なのに運転手を殴打、バスは建物に衝突...衝撃…

  • 7

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 8

    ロシア黒海艦隊「最古の艦艇」がウクライナ軍による…

  • 9

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中