中国の独立系製油所、安いロシア産原油購入か コロナ規制明けの需要増で
クプラーのデータによると、山東省の1―5月の原油輸入は日量168万バレル、中国全体の19.8%相当。前年同期は日量256万バレル、26.3%相当だった。
2017―21年のデータを見ると、山東省は例年6月に平均日量222万バレルを輸入している。従って、輸入量が平均に戻るなら今月の輸入量は日量50万バレル以上増えることになる。
高まる稼働率
ロシアによるウクライナ侵攻を受け、欧米がロシア産エネルギーに制裁を科す中、中国は今年に入ってロシア産原油を最も多く購入している国の1つだ。
JPモルガンのアナリストは、1日付の顧客向けメモで「推定によると中国は、日量100万バレルのロシア原油を容易に追加購入できる」と分析した。
また、ウッド・マッケンジーのアナリスト、ダフネ・ホー氏は、ロシアは2022年末までに日量250万バレル前後の原油の輸出先を欧州から変える必要があり、有力な変更先は中国だとしている。
中国によるロシア産原油の追加購入余力を予想するのは難しい。だが、トレーダーは中国が新型コロナ関連の制限を完全に緩和し、石油需要がコロナ禍前の水準に回復すれば、製油所の生産能力が日量140万─200万バレル増えると見込んでいる。
別のシンガポールのトレーダーは、ティーポット製油所は稼働率を5月下旬の約60%から6月末までに約70%に引き上げる可能性があると予想した。国営企業はティーポット製油所からの石油製品の購入を徐々に再開しているという。
稼働率が10%ポイント上がると、原油輸入は日量30万バレルほど増える。
山東省のコンサルタント会社Longzhongのデータによると、ティーポット製油所の平均稼働率は4月に50%を割り込み、2020年3月以降で最低となったが、先週は64%に回復した。
ただ、原油と精製品の在庫は高水準にあるため、短期的には輸入が限られるかもしれない。調査会社・ボルテクサのデータによると、陸上の商業原油在庫は5月下旬時点で9億バレル超と9カ月ぶりの高水準で、2020年8月に記録した過去最高の10億バレルに近づいた。
トレーダーによると、余剰分を解消するため政府は先週450万トンの燃料輸出枠を追加で発行したが、余剰在庫を解消し、輸入増を正当化するには、国内の燃料需要の増加が不可欠だという。
(Muyu Xu記者)
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