貿易赤字と経常赤字で「悪い円安」へ 日本から空前の規模の「家計の国外逃亡」が起こる可能性も
これは、2021年度の貿易赤字5兆3748億円をはるかに上回る金額です。これまでも「家計のキャピタルフライト」への懸念はありましたが、まったく起きませんでした。かつては外貨資産への投資はそれほど身近なものではなく、外貨預金も金融機関の平日営業時間内に窓口に出向く必要があったからです。
しかし現在では、インターネットを通じて、自宅にいながらFX(外国為替証拠金取引)などを24時間いつでも取引できるようになりました。
外貨投資への関心は若い世代を中心に急速に高まっており、新型コロナショック後の円安によって投資額も急拡大しています。また、20224月に成人年齢が20歳から18歳に引き下げられましたが、外為どっとコムが18歳成人に行った調査では「投資に興味があり」が6割を占めています。
今後も、若年層中心に外貨資産への投資が増える可能性は高いでしょう。
家計の金融資産の大半を握っているのは高齢者世代ですが、今後は海外旅行や海外商品に親しみを感じるバブル世代も高齢者世代に加わってきます。今後も「悪い円安」が進むようだと、本格的な「キャピタルフライト」が始まり、さらに円安が進む可能性もあるので注意が必要です。
[執筆者]
山下耕太郎(やました・こうたろう)
一橋大学経済学部卒業。証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て、個人投資家に転身。投資歴20年以上。現在は、日経225先物・オプションを中心に、現物株・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。趣味は、ウィンドサーフィン。ツイッター@yanta2011 先物オプション奮闘日誌