韓国、脱中国依存を進める 国内タングステン鉱山30年ぶりの再開へ
アジアン・メタルの分析に基づくと、タングステン製品の主要原料である最小パラタングステン酸88.5%の欧州価格は1トン当たり346ドル前後と、1年前に比べて25%超の上昇となり、5年ぶりの高値に迫っている。
上東鉱山は、地下に広大なトンネルを掘るなど近代化を進め、タングステンの粉砕・研磨工場も建設が始まった。
マネージャーのカン・ドンフン氏は、操業再開によって技術を次の世代に引き継ぐことができると考えている。「30年間も閉鎖されていた。このチャンスを逃したら、もう無理だろう」と語った。
供給網外交
韓国は昨年11月、北京が尿素水の輸出を厳格化して供給危機に陥ったことから、対応を検討するタスクフォースを立ち上げた。
資源安全保障を担当する韓国鉱害鉱業公団(KOMIR)に話を聞くと、同公団は上東鉱山のトンネル工事費用の約37%を補助することを約束し、潜在的な環境破壊を軽減するため、さらなる支援を検討するという。
尹錫悦次期大統領(9日時点)は今年1月、「特定の国」への鉱物資源の依存を減らすとの公約を打ち出し、4月には政府が民間部門と備蓄情報を共有することを可能にする新たな資源戦略を公表した。
安全保障の面から鉱物資源の確保に動いているのは、韓国だけではない。
米国、EU、日本はいずれも過去2年間に重要鉱物の供給戦略を立ち上げたり、見直したりしており、中国への依存度を減らすために多様な供給ラインに投資する広範な計画を打ち出している。
鉱物の供給網は外交の場でも注目されるようになった。
カナダとEUは昨年、中国への依存度を減らすために原材料に関する戦略的パートナーシップを始動。韓国は最近、オーストラリア、インドネシアと鉱物資源の供給網に関する協力協定に調印した。