韓国、脱中国依存を進める 国内タングステン鉱山30年ぶりの再開へ
レアメタル(希少金属)のタングステンを産する韓国の上東鉱山では、約30年ぶりの操業再開に向けて大規模な改修工事が進んでいる。写真は韓国・江原道のタングステン鉱山近くの村で3月撮影(2022年 ロイター/ Heo Ran)
レアメタル(希少金属)のタングステンを産する韓国の上東鉱山では、約30年ぶりの操業再開に向けて大規模な改修工事が進んでいる。デジタル時代を迎え、スマートフォンや半導体、電気自動車(EV)やミサイルまで幅広い分野でタングステンに新たな価値が見出されたためで、操業再開は韓国が主要レアメタルの中国依存を断ち切るきっかけになるかもしれない。
ソウルから南東180キロに位置する上東鉱山を所有するアルモンティ・コリア・タングステンのリー・ドンセブ副社長は、再開の理由について「天然資源の所有権を有していることを意味するからだ」と説明。「資源は武器に、戦略資産になった」と述べた。
ロイターが各国政府や企業の発表を調査したところ、中国を除く全世界で操業の立ち上げか再開が行われた鉱山と鉱物加工プラントが少なくとも30カ所あり、上東鉱山もその1つ。
業界のこうした動きは、グリーンエネルギーへの移行に欠かせない貴重な鉱物資源の供給確保で、世界中の国々が圧力にさらされていることを示している。
国際エネルギー機関(IEA)が昨年公表した予測によると、レアメタル全体の需要は2040年までに4倍に増え、EVやバッテリー向けでは30倍に膨らむ見通しだ。
こうした資源の多くは中国が採掘、加工、精錬で支配的な立場にあり、多くの国は鉱物資源の確保を国家安全保障の問題と捉えている。
中国地質調査所の2019年の調査では、中国は重要な鉱物で米国と欧州向けの最大の供給国だ。米国が重要鉱物に分類する35種類のうち、クリーンエネルギー技術に不可欠な13種類で供給量が最大であり、バッテリーに使用されるアンチモンなど欧州連合(EU)が重要鉱物とする21種類で最大の供給国となっている。