韓国、脱中国依存を進める 国内タングステン鉱山30年ぶりの再開へ
コンサルタント会社ウッド・マッケンジーの金属・鉱業担当上級副社長ジュリアン・ケトル氏は「言わば、重要な鉱業原料のレストランで中国は既に席に座ってデザートを食べているのに対して、他の国はタクシーの中でメニューを読んでいるような状態だ」と話した。
欠かせぬプランB
サムスン電子のような半導体大手を抱える韓国にとって、レアアースの供給確保は焦眉の課題だ。韓国は国民1人当たりのタングステン消費量が世界で最も多いが、輸入の95%を中国に頼っている。
ロンドンに拠点を置き国際商品に関する分析を行っているCRUグループの見積もりでは、中国は世界のタングステン供給の80%余りを握っている。
上東鉱山はかつて3万人が暮らすにぎやかな町だったが、今では住民は1000人ほど。ただ、同鉱山のタングステン鉱床は世界最大級で、来年の生産量は世界供給の10%相当に達するとアルモンティ・コリア・タングステンは見込んでいる。
アルモンティ・コリアの親会社でカナダに拠点を置くアルモンティ・インダストリーズのルイス・ブラック最高経営責任者(CEO)は、生産の半分程度を韓国国内に振り向け、中国産に取って代わる計画だと述べた。「中国から買うのは簡単で、中国は韓国にとって最大の貿易相手国だが、中国に依存し過ぎていることは理解されている。今はプランBが必要だ」と指摘した。
上東鉱山のタングステンは、韓国が日本の植民地だった1916年に発見された。タングステンはかつて、強度の高さから金属掘削工具に多く使われた。韓国経済の屋台骨を支え、1960年代には韓国の輸出額の70%を占めた。
その後は、より価格の安い中国産に押され、採算が立たなくなった同鉱山は1994年に閉鎖へと追い込まれた。しかし、デジタル革命やグリーン革命、供給源の多様化を求める各国の思惑から、今後は需要と価格が上昇を続けるとアルモンティは見込んでいる。