【ゼロから分かる】「円安=株高」が崩れたのはなぜ?
コロナ収束で、かつての常識は復活するか
この先コロナ禍が収束した暁には、「円安=株高」の構図は復活するのでしょうか。個人的な見解としては、「有事のドル買い」が復活し、今後は世界的な株価下落時にはドルに資金が向かいやすくなり、「円安=株安」の新常識が根づく可能性が高いと考えています。
日本は労働力人口の減少や経済の成熟化により、生産拠点が海外に移って、為替に対する企業の業績感応度は大幅に低下しています。輸出主導の「円安=株高」という構図が崩れているのです。
かつては日本の景況感がアメリカに比べて悪くても、円安が日本株の下落圧力を和らげてきました。しかし近年は貿易黒字と貿易赤字の年が混在し、金額も縮んでいます。輸出による円相場への影響が薄らぎ、そもそも輸出主導の「円安=株高」とはなりづらくなっているのです。
もはや為替ではなく、国際間での日本企業の競争力が大切になっているのです。それが劣っていると海外投資家に見られれば、日本株は今後ますます上がりにくい構造に変化していくかもしれません。
※本記事は再掲載です(初出:2021年12月20日)
[執筆者]
山下耕太郎(やました・こうたろう)
一橋大学経済学部卒業。証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て、個人投資家に転身。投資歴20年以上。現在は、日経225先物・オプションを中心に、現物株・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。趣味は、ウィンドサーフィン。ツイッター@yanta2011 先物オプション奮闘日誌