最新記事

株の基礎知識

【ゼロから分かる】「円安=株高」が崩れたのはなぜ?

2022年4月22日(金)13時40分
山下耕太郎 ※かぶまどより転載

コロナ禍が為替と株の相関を変えた

新型コロナウイルスの感染拡大により、為替の動きにも変化が出てきています。たとえば、「リスク回避の円高」という現象が、コロナショック時には起きませんでした。

コロナショック前までは、「マーケットでの不安心理が高まると日本の円が買われる」というのは、市場関係者の間で常識になっていました。これまで世界的な株安局面では、円高が進む場合が多かったからです。

しかし、2020年3月のコロナショックでは、株安と円安が同時に進みました。感染拡大による世界的な株価暴落でお金の流れが滞り、金融取引や貿易の決済資金を確保できなくなるという恐怖心から、国際間の決済で最も使われる米ドルの確保が進んだからです。

そして、「有事のドル買い」という相場格言が使われました。

■日米格差で円安・株価停滞に

2021年は、円安と株価停滞という現象が起こっています。11月になると円相場は115円台にまで値下がりし、2017年3月以来、4年8か月ぶりの円安・ドル高水準となりました。

背景にあるのは、日米間の金利差の拡大です。

FRB(連邦準備制度理事会)が11月3日に、コロナ対策として続けてきた量的緩和の規模を段階的に縮小する政策転換(テーパリング)を決定。アメリカではインフレ(物価上昇)懸念も出ていることから、利上げも前倒しされるのではないかという見方から、米10年債利回りも1.6%台まで上昇しました。

それに対して日本の長期金利は、日銀の金融政策によって0%程度に抑えられています。また、今後も日銀は大規模な金融緩和を維持し、低金利の状況が続くとみられています。このため、日米の金利差の拡大により、円を売ってドルを買う動きが強まっているのです。

kabumado20220421yenyasu-2.png

一方、日経平均株価は、9月14日に30,795.78円の年初来高値をつけたものの、その後は伸び悩んでいます。円安による輸入費用の増加が企業や経済に与える打撃に、注目が集まってきているのです。

たとえば、山崎製パン<2212>は、2022年1月からパンの価格を引き上げると発表。小麦の輸入価格が大きく上昇しているからです。足元では原油高も進んでいるので、円安と原油高によってコスト増となり、国内経済への打撃はより大きくなると見られています。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国尹大統領に逮捕状発付、現職初 支持者らが裁判所

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 8
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 9
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 10
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中