ロジックよりも興味を持たれ、相手に届く 「ストーリーで伝える」という手法
私は納得のいく批判やアンチコメントは素直に聞こうと思っています。初めてネガティブなコメントが付いた時はショックを受けました。でも、そうしたコメントをちゃんと読んでいくなかで、「あのツイートは私の説明が不足していた。ちゃんと文章が書けていたら誤解はされにくかった。私が悪い」と気が付きました。
その経験を糧にして、「わかりやすい文章で伝える」ということに対して、もっと必死で取り組もうと思うようになりました。だから1日1ツイートになったんです。でも、アンチコメントの取捨選択はするようにしています。すべてに反応するのは、自分の負担を増やすことになると思っているので。
──TikTokなどツイッター以外のSNSに興味は?
今の自分にフィットしているのは、ツイッターなのかな。私は、140字という、SNSのなかでは一番短い字数制限がある場所で輝けるんじゃないかと思っているんです。文章が苦手な私の思いを140字にまとめることが、すべてのスタートだったから。
──2021年に7月に独立して、「AZ(アズ)」を立ち上げたんですよね。
「AZ」は、書くことを軸にしたストーリーテリングブランドです。「商品やコンセプトをどう伝えていいかわからない」という相談を企業などから受けて、ストーリーを考えています。
事実やデータ、スペックをただ並べるよりも、物語に乗せてメッセージを伝えたほうが、お客様に届くんです。ストーリーは会社の数、商品の数、個人の数だけ必ずあります。それぞれのストーリーは唯一無二で、だから他社と差別化できる自社の強みです。オリジナルのストーリーを与えるお手伝いをすることで、コンセプトが輝けば嬉しいです。
「ストーリーテリング」という言葉が日本ではまだあまり知られていないので、先陣をきっていきたいです。
──どんな人に『ストーリーで語る』をおススメしたいですか?
まずは「あっきゃん」アカウントのフォロワーの皆さんです。皆さんのおかげでできた本だから。そして、文章力を付けたい方です。楽しく読み終わってみると、文章技術が身に付いていた。そんな本を目指しました。
ストーリーテリングの手法で、「書くこと」について伝えたつもりです。だから「ストーリーで語る」というフレーズにピンと来た方や、かつての私のように「書くって難しくてできないな」と引け目を感じている人は、ぜひ。
本書がきっかけで、「何か書いてみようかな」と思ってもらえたら、とても嬉しいです。サクッと読めるように書きましたので、身構えずに気軽に手に取ってみてください。
『ストーリーで語る』
秋山楓果 著
CCCメディアハウス
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秋山楓果(あきやま・ふうか)
Twitter界のストーリーテラー/AZ(アズ)創業者/東京デザインプレックス研究所 UXライティング・テキストコミュニケーション講師
2020年12月、「あっきゃん」のアカウント名でツイッターを開設。ごく普通のOLが、わずか100日でフォロワー数2万人を達成したとして、注目を集める。「短文羅列×情景描写×140字」で、さりげない日常のストーリーを綴るツイートが人気。ストーリーテリングの手法に則った独特の文章術は「あっきゃん構文」と呼ばれ、発信力を高めたい人たちのあいだで支持されている。
ブライダル業界勤務、広告代理店営業を経て、24歳で管理職に。2021年7月、ストーリーテリングブランド「AZ」を立ち上げて独立。現在はストーリーテラーとして、様々な企業のPRやブランディングに携わり、講師としても活動。UI/UX専攻コース他を担当し、UXライターとしても活躍の場を広げている。1996年生まれ、香川県出身。