後継者不足に陥る会社の3つの特徴 人事異動、評価、そして社長が愚痴
中小企業で見受けられる不公正な処遇は次のようなものがあります。
・優秀な人に仕事が集まり、頑張っている人が報われない
・社長の好き嫌いで処遇が決まる。社長に好かれた従業員の給与が異常に高い
・社長の親族の給与が、責任の程度や能力と比較して異常に高い
上記には極端なものも含まれますが、公正な評価・処遇をし、優秀な人材が前向きに働ける環境を作りましょう。
実は社長が「後継者が見つからない状況」に依存している
会社の経営者の方から後継者について相談を受けていると、ずっと部下の愚痴をいっているケースがあります。経営者は孤独なので、愚痴を言いたい気持ちもわかります。
しかし、後継者を探すつもりがないのかなと思うことがあります。そのような経営者の考え方を分析すると、部下の愚痴を言い続けることで、自分の存在や重要性を確認しているようにも思えます。
すなわち、「後継者が見つからないのは、社長自身が替えのきかないような優秀な人材だ」と確認し、自分の存在を確かめているのです。次のような言葉を言っている経営者は要注意です。
・「結局最後は自分が出ていかなきゃ、何にも解決できないんだ」
・「部下の○○はオレがいないとダメだ」
・「あと5年で引退する」→5年後...「あと5年で引退する」→...以下繰り返し
このような発言をよくする経営者は、後継者がみつからない状況に依存しているといえます。人間、卒業することやこれまでの環境と別れるのは辛いものです。中小企業経営者にとって、社長でなくなることは、自分のこれまでの人生そのものとお別れするような感覚でとても寂しいことかもしれません。
しかし、年齢を重ね後継者を探すパワーが無くなったときに、後継者を探すようではもう遅いのです。これからもその会社で働く従業員やお付き合いがある取引先のために早めに後継者を探しましょう。
M&Aで承継するという選択肢も
事業承継は「親族承継」「親族外承継」などの後継者に事業を譲るパターンの他に、会社を売却する「M&A」という選択肢もあります。会社を売却するには、まず買い手を見つけることが必要です。
しかし、「この方なら人生を注ぎ込んでいた私の会社を譲ってもかまわない」と思える人に出会えるまで時間がかかる可能性があります。また「M&A」は景気の波など外部環境にも左右されるので、自分が売りたいと思った時期に買い手が現れるとも限りません。早い段階から売却先を探しておくことが、「M&A」の成功の秘訣です。
本記事では、後継者不足に陥る会社の特徴をお伝えしました。ぜひ参考にしてください。
2021.06.01
[執筆者]
吉田優一
社会保険労務士法人ONE HEART 代表 社会保険労務士
2012年社会保険労務士試験に合格。その後、社会保険労務士法人で中小企業の労務管理アドバイス業務に8年間従事する。その中で労務管理のノウハウを知らないために、「ヒト」の問題に悩む多くの中小企業経営者に出会う。そのような中小企業経営者にとってより役に立つ存在になるには、自分自身が中小企業経営者になる必要があると感じ、社会保険労務士法人ONE HEARTを設立し、独立開業。創業直後や上場を目指す会社の労務管理の適正化が得意。Twitterでスタートアップ、ベンチャー企業に有益な労務管理の情報を発信しています。