仕事ができる人は実践している 「お世話になっております」より効果的なメールの書き出し
「あなただけに話しかけている」という気配
人間的な信頼関係を深めるためには、そのときの時刻や状況を踏まえたうえで「あなただけに話しかけている」という気配を作ったほうがいい。
特に好ましいのは、相手の状況を推察してねぎらったり、共感したりする表現だ。
たとえば深夜の3時にメールがあり、たまたま自分がすぐに返信が可能だった場合に「遅くまでお疲れさまです。私のメールへのお返事は明日でも大丈夫です」という表現を加えれば、相手もちょっとうれしくなる(ただし「お子さんが小さいのに深夜まで申し訳ございません」など、相手のプライベートに踏みこむような表現は避けよう)。
また、自分が指示した作業をこなした人に「あれこれとわがままを申しましたのに、ばっちり仕上げていただいてありがとうございます。大変助かります!」といった返信を書くのもいい。他者から苦労を認められて嫌な人は誰もいないからだ。
(加えてズルいことを書けば、相手に気持ちよく仕事をしてもらえれば次回に依頼するときもやりやすいし、成果物のクオリティも上がるので、まわりまわって自分が得をするのである)
ちょっと一工夫を加えるだけで人間関係を円滑にできると考えるならば、上手なメールを書くことはかなり「コスパ」がいい行為だといえるだろう。
安田峰俊
ルポライター、立命館大学人文科学研究所客員協力研究員
1982年生まれ、滋賀県出身。広島大学大学院文学研究科博士前期課程修了。著書『八九六四 「天安門事件」は再び起きるか』が第50回大宅壮一ノンフィクション賞、第5回城山三郎賞を受賞。他の著作に『現代中国の秘密結社 マフィア、政党、カルトの興亡史』(中公新書ラクレ)、『「低度」外国人材』(KADOKAWA)、『八九六四 完全版』(角川新書)など。近著は2022年1月26日刊行の『みんなのユニバーサル文章術』(星海社新書)。