最新記事

トルコ

通貨リラ暴落のトルコ インフレ直撃の庶民は安いパン求め市営売店に行列

2021年12月13日(月)10時37分

トルコ中銀は大統領の圧力を受けて9月以降、政策金利を19%から15%に引き下げた。その後リラは11月だけで対ドルで30%ほども下落し、11月の消費者物価指数(CPI)の前年比上昇率は21.3%に跳ね上がった。

市当局によると、イスタンブールの生計費はこの1年間で50%急騰。家賃は71%上がり、生活必需品の多くは75-138%値上がりした。

イマムオール氏は「今の状況は単なる経済危機ではない。政治危機だということを強調したい」と述べた。

経済的攻撃

世論調査によると、エルドアン氏の支持率は6年ぶりの低い水準に落ち込んでおり、大統領選で敗北する可能性がある。2019年にAKPの候補を破って市長の座に就いたイマムオール氏はエルドアン氏の対立候補と言われているが、イマムオール氏自身は市長の職務に専念するだけだと話している。

エルドアン氏は、政府は国民が直面する困難に対処しており、輸出や生産、投資に力点を置く、成長重視の新たな政策を推し進めていると説明している。

4日には南東部シイルト県で演説し、「我々は、国民が日常の生活で見舞われている問題を解決するための手段を講じている」と述べ、賃金が上がり、貧しい人々の負担は軽くなるとした。

また、最近の「法外な」物価上昇は「貪欲な日和見主義者」のせいだと非難。過去3年間、政府は経済を通じた攻撃を受けてきたが、「国民は我々を理解し、支持している」と述べた。

スルタンガジ地区でパンを買った主婦のエミネ・サリ・メフメットさんは、政府は経済をむしばむ勢力に相対しており、国民の連帯を必要としていると言う。

「これは私たちの国に対して仕掛けられた戦いだ。私はそう思う」とメフメットさん。解決策は「自分たちの国を支えること。私たちの国だから」と話した。

(Mehmet Emin Caliskan記者 Daren Butler記者)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・誤って1日に2度ワクチンを打たれた男性が危篤状態に
・新型コロナ感染で「軽症で済む人」「重症化する人」分けるカギは?
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 10
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中