インフレ不安、「リーマン後」や「石油危機」との類似点と相違点を解き明かす
THE COVID INFLATION SCARE
2021年10月13日(水)18時11分
コモディティ(1次産品)価格が上がれば、消費者物価は短期的に上昇するが、インフレスパイラルが始まるとは限らない。70年代の石油価格急騰で激しいインフレが起きたのは、コモディティ輸入側である欧州などの労働者や消費者がエネルギー価格上昇の結果である購買力の低下を補うために、賃金引き上げを要求したためだ。
現在、この手のスパイラルが起きる可能性はずっと低い。昨年と比べると、原油などの価格は高騰している印象があるが、今も08年当時のピーク水準を下回っている。
中央銀行のインフレ懸念と対策をめぐっても、欧州とアメリカの立場は異なる。主要国の中央銀行は、新型コロナショックにあおられて、デフレの崖に危険なほど接近した船のような状況にある。だが、風向きは変化し始めた。
これまであまりに陸地近くにとどまっていたECB(欧州中央銀行)にとっては、ある程度の物価上昇は歓迎すべきものかもしれない。しかしFRB(米連邦準備理事会)は、インフレの大海原を漂流する危険を懸念すべきだ。
今、あなたにオススメ
WorldVoice
PICK UP
新着