東南アジア経済が窮地、デルタ株拡大で生産打撃
サムスン、フォックスコン、ナイキといった世界的な企業の工場があるベトナムの場合も、南部で操業している企業は、規制措置によって夜間は従業員を工場に立ち入らせることができなくなっている。
ベトナム統計総局が先週公表したデータに基づくと、南部の幾つかの都市や省は、7月から導入した厳しい移動制限が原因で工業生産が急低下した。
世界のゴム手袋の約67%を供給しているマレーシアでは、ロックダウンのため、多くのメーカーが6月と7月に操業を停止。その後、業界団体の訴えを受けて規制が緩和され、6割の従業員が復帰した。業界側は、全従業員が稼働できるようにしてほしいと要望しているところだ。
東南アジアの混乱は世界に波及
東南アジア製造業の混乱は、既に他の地域にも影響を与えている。例えば、ドイツの半導体メーカー、インフィニオン・テクノロジーズは、マレーシア工場の一時閉鎖で数千万ドルの損失が発生すると予想。そうした工場閉鎖が今度は、インフィニオンの取引先の自動車セクターに波及するだろう。
マレーシア・ドイツ商工会議所のバーンベック最高責任者は、マレーシアの厳格な隔離ルールが、半導体メーカーなど高付加価値製造業にとって、必要な技術専門家の確保も難しくしていると指摘した。
アナリストは、リスクは生産への打撃にとどまらないと警鐘を鳴らす。
ムーディーズ・インベスターズ・サービスは「集中的な経済構造」と政府機構の弱さがあるアジア太平洋経済は、最も痛手が大きくなると予想。「これらは低所得層を伴っており、そこが深い傷を負えば社会的なリスクが増大する公算が大きい。一部では、多大な債務負担がパンデミックに耐えるための政府の財政出動余地を限定してしまっている」と分析した。
(Orathai Sriring記者 Liz Lee記者)
(Orathai Sriring記者 Liz Lee記者)
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