中国、規制強化で時価総額110兆円消失 欧米投資家も見直しの動き
投資家は、今回の変化が長期的に経済成長をより包括的なものにするための広範な取り組みの一環であると認めつつ、将来のリターンについては、慎重なリスク評価に重きを置くよう心掛けている。
UBSグローバル・ウェルス・マネジメントの最高投資責任者、マイケル・ボリガー氏は「ボラティリティーやノイズと、恒久的な動きを確実に見分けることが需要だ」と言う。
痛手を被ったセクターの一部は、いずれ回復する公算が大きい。だが、政府が非営利化を望んでいる学習支援サービスなどのセクターは全く見通しが立たない。「これらの企業は、DNAがほとんど入れ替わってしまった」と言う。
その痛みは大きい。EPFRのデータによると、今月最初の週だけで、主に中国株に投資する株式ファンドから約20億ドルが流出した。モーニングスターのデータでは、中国に特化したファンドのリターンは少なくとも7%のマイナス。過去5年間の平均は約13%のプラスだった。
影響は債券にも
株式以外の市場にも影響は波及している。
中国の債券市場は、不良債権処理会社である中国華融資産管理、中国恒大などの債務危機に動揺しており、1月に1.8だった与信スコアのZ値は先月0.7となった。通常、Z値が1.8を割ると企業倒産の危機が迫っていることを意味する。
アシュモア・グループの調査部門の副責任者、グスタボ・メデイロス氏は「政府はこうした不動産開発業者が債務不履行に陥り、大きな債務危機が起きるのを容認するだろうか」と疑問を投げかける。
SSGAのアジア太平洋地域の投資戦略・調査責任者、ミッシェル・バーロウ氏も「過去の歴史を振り返ると、スプレッド拡大は市場参入にとって魅力的なタイミングだ」と話すが、注意は怠れない。
アライアンス・バーンスタインのグローバル・マーケッツ・フォーラムで新興市場国債を担当するシャマイラ・カーン氏は「投資家は投資スタイルを利回り重視から、基礎的諸条件の分析に基づく形へと変える必要がある」と述べた。
そのことが中国の資産をより持続可能なものとし、長期的には企業収益を支えることになるかもしれない。
SEBインベストメント・マネジメントのアセットアロケーション部門グローバルヘッド、ハンス・ピーターソン氏は、今年の中国市場急落で打撃を被っているものの、市場に留まっており、政府と中央銀行が新たな景気対策を打ち出せば、中国資産を追加取得するかもしれないと述べ「中国の問題点よりも、可能性に目を向けるべきだ」と訴えた。
(Tom Arnold記者、Marc Jones記者)
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