最新記事
コロナ禍

欧米サプライヤー、物流混乱で早くもXmas商戦向け出荷が大ピンチ

2021年7月4日(日)10時19分
ロイター

英ディスカウント小売店ポンドランドを所有するペプコ・グループのアンディ・ボンドCEOはロイターに「われわれが直面しているのは1日単位の試練であり、頭痛の種であるのは間違いない」とこぼした。

「トミーヒルフィガー」、「カルバンクライン」といったブランドを展開するPVHなどの衣料品小売り企業は、在庫拡充のために航空貨物の利用も選択肢として検討している。

豪華なクリスマスツリーなど装飾品を販売するバルサム・ヒルのマック・ハーマンCEOは、年末商戦関連の在庫は感謝祭の週末にも手に入るかどうか不確実だとした上で、中国発注分の一部はクリスマスにも到着しないかもしれないと悲観的。「この時期に手元にあるはずの商品はまだコンテナ数百個の中だ」と語り、足元の在庫は少なくとも例年より10%少ないと付け加えた。

英国全土にケータリング設備を供給するイージー・エクイップメントのマイケル・シャーCEOも、中国で貨物が足止めされている状況に苦戦を強いられ、前倒しの仕入れに躍起となっている。

早くも年末商戦をあきらめる会社も

ロサンゼルスを拠点にゲームを制作しているエクスプローディング・キトゥンズのカーリー・マクギネス製品・セールス物流担当責任者は、ウォルマートやターゲットなどの主要小売店でゲームが品切れにならない態勢を確保したい考え。今年は制作数を増やしているほか、昨年よりおよそ4カ月早い3月の時点で年末商戦向けの出荷を始めた。

マクギネス氏によると、ウォルマートとターゲットには発注分の一部を「逆輸入」で手当てするオプションも提供している。両社は米国でも屈指の大口コンテナ輸入者なので、貨物船やコンテナを優先的に利用できる可能性があるためだ。

一方、米首都ワシントンのプラガブル・テクノロジーズ創業者バーニー・トンプソン氏は、アマゾンなどに販売しているドッキングステーションをはじめとするコンピューター周辺機器の在庫を年末商戦に向けて復元する望みを捨て去った。売れ行きトップの幾つかの商品は、半導体不足が響いて仕入れまでに12カ月以上もかかってもおかしくないからだ。

トンプソン氏は「クリスマスにはもう手遅れだ」と肩をすくめた。

(Lisa Baertlein記者、Jonathan Saul記者)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・誤って1日に2度ワクチンを打たれた男性が危篤状態に
・インド、新たな変異株「デルタプラス」確認 感染力さらに強く
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

マスク氏、近く政権離脱か トランプ氏が側近に明かす

ビジネス

欧州のインフレ低下、米関税措置で妨げられず=仏中銀

ワールド

米NSC報道官、ウォルツ補佐官を擁護 公務でのGメ

ワールド

トランプ政権、輸入缶ビールに25%関税賦課 アルミ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台になった遺跡で、映画そっくりの「聖杯」が発掘される
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 7
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 8
    博士課程の奨学金受給者の約4割が留学生、問題は日…
  • 9
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 10
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 7
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 8
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 9
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 10
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中