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クリーンエネルギー投資拡大 最大1000万人の雇用の可能性、コロナ禍の経済回復を後押しか

2021年7月12日(月)11時15分
大気汚染の広がる上海

コンサルタント会社EYパルテノンが発表したリポートによると、英国の洋上風力発電所からベトナムの水上太陽光発電施設まで、現在世界約50カ国で1万3000件の再生可能エネルギー事業が資金調達待ちの状態にあり、グリーン関連で今後最大1000万人の雇用が創出される可能性がある。上海で11月撮影(2021年 ロイター/Aly Song)

コンサルタント会社EYパルテノンが7日に発表したリポートによると、英国の洋上風力発電所からベトナムの水上太陽光発電施設まで、現在世界約50カ国で1万3000件の再生可能エネルギー事業が資金調達待ちの状態にあり、グリーン関連で今後最大1000万人の雇用が創出される可能性がある。

同リポートはこうした事業の投資機会は総額2兆ドルに上り、地元の雇用とともに供給網の雇用創出にもつながることが見込まれると指摘。また温暖化物質排出抑制や、グリーン部門の新型コロナウイルス感染流行(パンデミック)からの回復を後押しするとみられている。

この調査は欧州気候財団(ECF)の委託で実施された。EYのグローバル・エネルギー・アドバイザー、Serge Colle氏は、世界で政府が適切な政策と規制を実行すれば「民間部門の再生可能関連投資が大きく加速する可能性がある」ことをリポートは示していると述べた。

これらの事業が今後3年間に実施されれば、世界全体で再生可能エネルギー普及率が2倍以上に拡大する見通し。20カ国・地域(G20)含め、調査が対象にしている47カ国がこの10年に約束している温暖化物質排出削減量の22%を実現できるとみられている。

これは2030年までに地球の気温上昇を産業革命前の水準から最大1.5度に抑制するために必要な排出削減量の9%に相当するという。

幅広い職種に恩恵

雇用創出について最も恩恵を受ける余地があるのは中国と米国で、創出される雇用はそれぞれ200万人と180万人に達する見通し。インド、オーストラリア、ブラジル、英国、カナダでも、洋上・陸上の風力・太陽光・水力発電能力の拡大により、それぞれ数十万人の雇用増が見込まれる。

業務は建設や設備の設置、製造など熟練度の低い労働からエンジニアリングやプロジェクトマネジメントなどの専門職まで広範囲にわたる。

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