海外相手のビジネスで、上手くいかない人が陥りがちな「異文化の罠」とは
高橋亨氏 Toru Takahashi
<13年にわたり海外でビジネスを行ってきた著者から見て、日本人は「異文化」を意識し過ぎることで成功のチャンスを逃している>
※この記事は、本の要約サービス「flier(フライヤー)」からの転載です。
海外のビジネスパーソンと仕事をすると、それまでのやり方が通用せず、戸惑った経験がある人も少なくないでしょう。ですが、それは言語や国民性の違いからくるものでしょうか?
そう疑問を投げ掛けるのは、イランやシンガポールといった国々に駐在し、海外経験が長いグロービス・コーポレート・エデュケーション、マネジング・ディレクターの高橋亨さん。
今春刊行した『海外で結果を出す人は「異文化」を言い訳にしない』(英治出版)では、「異文化だから......」と日本人が陥りがちな罠や海外展開における心構えを、自身の実体験をもとに紹介しています。
今回は高橋さんをお招きし、株式会社フライヤーアドバイザー兼エバンジェリストである荒木博行さんが、Voicy「荒木博行のbook cafe」で対談を行いました。総合商社を経てグロービスへ転職したという共通点を持つお二人のトークを、再構成してお伝えします。
日本人はもっと活躍できる
荒木博行(以下、荒木) 高橋さんは商社時代にイランとベルギーに駐在、2002年にグロービスに転職されました。私は2003年にグロービスに入社したので1年違いでしたね。包容力のあるタイプの方だなと感じていました。その理由が、海外でのご経験に裏打ちされたものだと本書を読んで分かり、線でつながった気がしました。
『海外で結果を出す人は「異文化」を言い訳にしない』というタイトルはストレートフォワードでよく伝わります。本書に込めた思いをお聞かせください。
高橋亨(以下、高橋) 丸紅ではイランに3年、ベルギーに5年駐在し、グロービスでもシンガポールとタイで5年の計13年間、海外で働きました。その中で「日本人はもっと世界で活躍できる。良いものを持っているのに......」と感じていました。
日本人は、海外に行くと「ここはアメリカだからこうしなきゃいけない」とか「中国だからどう」と異文化に囚われ過ぎてしまい、本質を見失いがちです。
しかし日本人もいろいろな人がいるし、イラン人もアメリカ人もさまざまです。異文化というバイアスに囚われずにもっと事の本質を見るようにすると、より良い成果が出せるという、私なりの海外での体験やチャレンジを知っていただきたい思いで書きました。
荒木 日本にいても、そういう記号的なものが目に入ってしまうことってありますね。たとえば、女性だとか、生え抜きだとか、人はいろいろな記号を背負っています。ただ、そこにこだわっていると人間関係はうまくいきません。
4つの壁
荒木 本書にある「『異文化だから』で、見落としてしまう4つの壁」について、少しご説明いただけますか。
高橋 異文化を言い訳にしないためにどうすべきかを考えるうえで、4つの壁があります。