アメリカのワクチン接種普及の影に「資材囲い込み」 他国メーカー困惑
南アフリカのワクチン製造企業バイオバック研究所も、細胞の培養に必要なバイオリアクター用バッグを米国企業から調達している。バイオバックのモレナ・マクホアナCEOはロイターの取材に対し、米国のサプライヤーから、DPAが適用されたため、バッグの納期が通常の2倍以上の14カ月になる可能性があると警告を受けたと話す。
承認が出ていないAZワクチンも優先扱い
国によっては、もっと恵まれた状況にあるワクチン製造企業もある。ブラジルのブタンタン研究所の幹部はロイターに対し、米国・英国の双方から資材を調達できていると語った。
たとえばアストラゼネカが開発したワクチンはまだ米国内での使用承認が得られていないが、米国内でこれを製造するための資材の注文は優先扱いされる。そのせいで、セラムが自国をはじめ多くの国々で使用される同ワクチンを製造しようとしても、資材が送られてくるのが遅れてしまう可能性がある。
現時点で、米国ではファイザー、モデルナ、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の3社の新型コロナワクチンが緊急使用の承認を得ている。
米国で受けている資材調達の優先扱いがグローバル規模で与える影響について、アストラゼネカからはコメントが得られず、モデルナとJ&Jもコメントを控えた。ファイザーは米DPAには直接触れず、「世界中の人々に奉仕することをめざし、甚大な努力を重ねている」と述べた。
Allison Martell and Euan Rocha(翻訳:エァクレーレン)
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