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EVはもうすぐ時代遅れに? 「エンジンのまま完全カーボンフリー」を実現するあるシナリオ

2021年3月21日(日)16時35分
山崎 明(マーケティング/ブランディングコンサルタント) *PRESIDENT Onlineからの転載

さらには、CO2をもとに燃料を作るという研究も行われており、実験室レベルではすでに成功している。つまり人工的に光合成を行うということだ。

グリーン電力を使えるのであればCO2を回収して燃料に戻すことが可能なのだ。日本でも東芝などが開発を進めており、2025年にANAのジェット機を飛ばすことを目指しているという。

このように合成燃料の生産ができると、内燃機関のままでカーボンフリーが達成できてしまうのである。

EVを生かしつつ、さらなる未来を見据える重要性

カーボンフリー社会を実現するためにはEVしかないという極端な論調が目につくが、決してEVだけが解決策ではないということがわかっていただけただろうか。

EVを生かしつつ、さらなる未来を見据える重要性

カーボンフリー社会を実現するためにはEVしかないという極端な論調が目につくが、決してEVだけが解決策ではないということがわかっていただけただろうか。

冒頭に書いたように、EVは使い道によっては利点も多いのである程度は普及するだろう。しかし現時点でのあまりに急速なEV化はCO2削減という本来の目的に対してデメリットが多く、一方で将来グリーン発電が進めば全く異なるシナリオも現実味を帯びてくる。

すべての自動車がEVになるというのはおそらく間違いだと私は考えるが、どうだろうか。水素や合成燃料で走る車が究極で、EVはその繫つなぎでしかないかもしれない。

10年後にはすべてをEVにすると発表している自動車メーカーもあるが、果たしてその判断が正しかったのかどうか、10年後が楽しみである。

山崎 明(やまざき・あきら)

マーケティング/ブランディングコンサルタント
1960年、東京・新橋生まれ。1984年慶應義塾大学経済学部卒業、同年電通入社。戦略プランナーとして30年以上にわたってトヨタ、レクサス、ソニー、BMW、MINIのマーケティング戦略やコミュニケーション戦略などに深く関わる。1988~89年、スイスのIMI(現IMD)のMBAコースに留学。フロンテッジ(ソニーと電通の合弁会社)出向を経て2017年独立。プライベートでは生粋の自動車マニアであり、保有した車は30台以上で、ドイツ車とフランス車が大半を占める。40代から子供の頃から憧れだったポルシェオーナーになり、911カレラ3.2からボクスターGTSまで保有した。しかしながら最近は、マツダのパワーに頼らずに運転の楽しさを追求する車作りに共感し、マツダオーナーに転じる。現在は最新のマツダ・ロードスターと旧型BMW 118d、1966年式MGBの3台を愛用中。著書には『マツダがBMWを超える日』(講談社+α新書)がある。


※当記事は「PRESIDENT Online」からの転載記事です。元記事はこちら
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