韓国ポータル最大手ネイバー、「検索ランキング」終了の理由
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韓国のポータルサイト最大手ネイバーは、日本のLINEの親会社でもある SEONG JOON CHOーBLOOMBERG/GETTY IMAGES
<検索ランキングが事実上のデジタル広告になっていることや、政治的に利用されていることが物議を醸していた>
1日3000万のユーザーが利用する韓国最大のポータルサイト「ネイバー」は2月4日、「急上昇検索ワード」のサービス終了を発表した。
ユーザーの検索回数が急増したワードのランキングをリアルタイムで表示する同サービスは、2005年に開始。上位の検索ワードはネイバーのトップページにより詳細な情報が表示され、過去にさかのぼったトレンド検索も可能になっていた。だが、2月25日で提供を終了する。
「インターネットサービスでのユーザーの行動様式は、これまでと大きく変わった」とネイバーはブログで理由を説明した。「今のユーザーは一方的に与えられるコンテンツではなく、自分の好みや嗜好に合ったコンテンツを選ぶ。それを直接提供することが極めて重要だ」
同社はユーザーの嗜好の変化を理由に挙げたが、ネイバーの検索サービスは近年、何かと物議を醸していた。ビジネスの分野では、企業が顧客に働き掛け(時にはクーポンを配布して)、特定の検索ワードがランキングに載るようにする戦略を取っているため、検索ワードが事実上のデジタル広告になっているという不満の声が出ている。
ポータルサイトが政治の戦場に
さらに韓国公正取引委員会は昨年10月、検索機能を操作してユーザーを自社ショッピングサイトに誘導したとして、ネイバー社に267億ウォン(約24億円)の課徴金を科した。
検索ランキングを人為的に操作しようとする動きは、政治の世界でも見られる。19年、曺国(チョ・グク)法相の任命をめぐり世論が二分されていた時期には、支持者と反対派の双方がポータルサイトに殺到し、自分たちに有利な検索ワードを数百万人のユーザーが見るトップページに表示させようとした。
ニュースサイトやポータルサイトが政治の戦場になった例はこれ以前にもあった。12年には、韓国の情報機関である国家情報院が保守派の大統領候補・朴槿恵(パク・クネ)(当時)を支援する一方で、左派の候補だった文在寅(ムン・ジェイン)(同)を中傷するコンテンツをばらまく大々的なキャンペーンを行った。
18年には、金慶洙(キム・ギョンス)慶尚南道知事が17年の大統領選前に有名ブロガーと協力して、文在寅に好意的なニュース記事に何千もの「いいね!」を付けていた事実が判明。ソウル高裁は昨年11月、金に業務妨害の有罪判決を下した(文大統領は直接の関与を否定)。