米ネット掲示板発の株取引熱、欧州に波及 個人取引が急拡大
後発組の悲劇
一方で当局者、または当の証券会社も、今回の投資ブームにはリスクがあり、特に後発で参加しながら簡単に稼ごうと考えている人は注意が必要だと警鐘を鳴らしている。
米国では、ゲームストップなど巨大ヘッジファンドが空売りする銘柄に個人が買い向かおうと、ソーシャルメディアがあおり立てて始まったレディットラリーに対し、早い時期に便乗した一部投資家は多額の利益を手にした。
ところが遅れてやってきた投資家はひどい損失に見舞われた。約2週間前に483ドルまで跳ね上がっていたゲームストップ株が先週、一時51ドルに沈んだからだ。イエレン米財務長官は、当局が注視していると表明し、警戒感をにじませた。
欧州連合(EU)当局者も、パンデミックに起因する各種行動制限が導入されて以来、個人投資家のオンラインによる株式取引が急増している事態を受けて、何らかの介入に動く可能性を示唆している。
銀行や証券業界関係者の話では、欧州で今投資ブームの渦中にある人の多くは、域内企業よりも米企業に注目している。ロンドンで働くある米銀のトレーディング責任者は「新たに株式取引口座を開設する米国外の個人投資家が増えている。ほとんどは世間一般の人々で、パンデミックのせいでオンライン以外の取引手段が事実上なくなったような人たちだ。その結果、一部の個人は米国株に対する投資を拡大しつつある」と述べた。
米国外の若い投資家が地元企業より米企業の株式を保有したがるのは、レディットラリーの対象というだけでなく、それがアップルやアマゾン、テスラなど世界的に有名な企業だからという面もある。
フリートレードは、英個人投資家が出す注文のうち米上場銘柄は55%、英上場銘柄が45%だと明らかにした。
英国のリーズ在住でフリートレードを利用している22歳のルイス・ハーディングさんも、米国株と英国株の双方を運用する1人。保有銘柄はフェイスブック、バンク・オブ・アメリカ、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ、ユニリーバなどだ。
ハーディングさんが投資を始めたのは2017年で、最初に買ったのは世界最大の大麻関連企業アフリア。これが見事に実を結び、初めての車を購入できるほどの利益があった。その後はより大きな、安定した企業の株への投資を中心にしているという。
投資は独学で、書籍やユーチューブの動画、ポッドキャストの聴講などを通じて学んだと話すハーディングさん。過去数週間の市場の出来事には興奮冷めやらない様子だ。「今起こっていることにはかなりびっくりしている。私はゲームストップ株を買わなかったが、状況は観察していた。まさに正気の沙汰ではなかった」と語った。
(Lawrence White記者、Anna Irrera記者)
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