最新記事

市場

地銀再編、セールスフォース、ニトリ......その買収は、強者のM&Aか弱者のM&Aか

2021年2月3日(水)11時35分
安藤智彦(ジャーナリスト)

magInvesting20210203manda-2.jpg

菅政権が注力する地銀再編は弱者のM&A  MARTIN BARRAUDーISTOCK

2020年後半には、日本でもNTTが4兆3000億円を投じてNTTドコモを完全子会社化し、ニトリホールディングスによる同業者への株式公開買い付け(TOB)などが続いた。

強者が関与するM&Aには資本効率の改善、技術・仕入れ・販売ルートの相互利用などのメリットがあるが、「ドコモやニトリはこのケースに該当しそうだ」と井出氏は言う。

5Gの浸透など市場環境の激化への対応が必要だったドコモ、ホームセンター事業の拡大を見越すニトリ。共に「さらに強くなる」ためのM&Aというわけだ。

ただし、M&Aによる企業再編を起こすのは強者ばかりではない。

「日本で言えば、菅政権も注力している地方銀行の再編は『追い込まれ型のM&A』。成長余力に乏しい」と、阪上氏は言う。井出氏によれば、「弱者同士の再編だと主な効果はコストダウンに限定されるケースが多い」。投資先としての魅力は少ないと言えるだろう。

市場の流れや個別企業の経営戦略を占う上で、大きな指針となるM&Aの動向。投資のスタンスを検討するなかで、全体の絵を見通すための重要な情報源の1つだ。

注目の日本株

ニトリホールディングス(東証1部:9843)

1967年に札幌で創業。全国に541店舗、海外に66店舗(2020年2月現在)を展開。家具・インテリア製品の製造・販売を軸とする。ホームセンター大手・島忠の買収や中国市場強化で今後を見据える。

magInvesting20210203manda-jp.jpg

本誌2021年1月12日号30ページより

注目の米国株

セールスフォース・ドットコム(NYSE:CRM)

1999年設立の顧客管理ソフトを軸とする企業。クラウドベースのソフトウエア事業では草分け的存在で、買収を繰り返して成長してきた。2020年末も米スラック・テクノロジーズの買収で話題を呼んだ。

magInvesting20210203manda-us.jpg

本誌2021年1月12日号30ページより

※チャートは全て、上が株価(日本銘柄の単位は円、米国銘柄の単位はドル)、下が売買高(単位は株、Mは100万、Bは10億を表す)。チャート提供:TradingView

<本誌2021年1月12日号「2021年に始める 投資超入門」特集より>

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

アングル:米財務長官指名のベッセント氏、注目すべき

ワールド

レバノン停戦合意、米仏大統領が近く発表か イスラエ

ワールド

OPECプラス、12月会合で減産継続検討も アゼル

ビジネス

米メーシーズ、第3四半期決算の公表延期 従業員の経
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老けない食べ方の科学
特集:老けない食べ方の科学
2024年12月 3日号(11/26発売)

脳と体の若さを保ち、健康寿命を延ばす──最新研究に学ぶ「最強の食事法」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳からでも間に合う【最新研究】
  • 3
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではなく「タイミング」である可能性【最新研究】
  • 4
    テイラー・スウィフトの脚は、なぜあんなに光ってい…
  • 5
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 6
    「典型的なママ脳だね」 ズボンを穿き忘れたまま外出…
  • 7
    日本株は次の「起爆剤」8兆円の行方に関心...エヌビ…
  • 8
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 9
    またトランプへの過小評価...アメリカ世論調査の解け…
  • 10
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 5
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 6
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 7
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 8
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 9
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 10
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 6
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 7
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 8
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中