ひふみ投信・藤野英人「それでも日本の未来を信じ、日本株を買い続ける理由」
BELIEVING IN JAPAN
注目は、やはりグリーン関連。菅政権が2050年までの脱炭素を宣言したこともあって誰もが注目しているが、その中で、誰も思い付けない企業を見つけられるかどうか。
例えば、グリーン関連の重要なテクノロジーだが、多くの人が気付かないようなもの。そうしたものを発見できれば、将来大きく成長する芽をつかむことになるかもしれない。
ただし、投資に不慣れな人に伝えたいのは、いきなり手持ちのお金を全てつぎ込むようなまねはしないでほしいということ。「手に汗を握らない程度」の小さな資金から始めるのが得策だ。
具体的に言うと、現金資産の1割以下でいい。その程度なら、たとえ失ったとしても人生には影響しないだろう。また、その資金を一度に投じるのではなく、時間や対象を分散して、ゆっくり投資することも大切だ。
「長期的に価値のある素晴らしい会社の株価が上がる」ことが株式市場の根本だと述べたように、投資も長い時間をかけて向き合う必要がある。
多くの個人投資家が、よい企業だと思って投資しておきながら、ちょっと株価が上がったらすぐに売ってしまうが、それでは本来得られたはずのリターンをみすみす手放しているようなものだ。
2020年の株式市場は過去に例を見ないようなものだったが、私がこの世界に足を踏み入れて約30年、相場が簡単だったことは一度もない。
9・11、リーマン・ショック、東日本大震災。そのたびに世界の終わりだと言われるが、世界はそんなに簡単には終わらない。世界が悲観しているときに希望を持ち続けられるか。
どんなにスキルがあっても、手放したら終わりなのが株式投資だ。その意味で、株式投資の成否を決めるのはスキルよりも考え方。ぜひ「小さく・ゆっくり・長く」株式投資を味わってもらえればと思う。
(構成・土居悦子〔編集者〕)
<本誌2021年1月12日号「2021年に始める 投資超入門」特集より>
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